内容説明
大国に囲まれた小国=境界領域の国民形成のアイデンティティを求める活動は多岐にわたるが、ナショナリズムを含めて往々にして分断に及ぶ。特にリトアニア、ベラルーシ、ウクライナ、ポーランド地域の歴史は複雑に錯綜し、様々な政治権力が絡み合う。そうした歴史潮流において、元々、「歴史的リトアニア」という多元文化社会を元にした郷土理念が底流にある人物の思想と行動、また、その郷土理念が影響する政治の流れや、それぞれの時代に表出した出来事を読み解いていく。“早坂史学”とも言うべき研究成果の労作、東欧・ロシア史研究の基本図書。
目次
序章 境界領域出身の歴史家たち
第2章 「歴史的リトアニア」と帝政ロシアの「北西地方」
第3章 リトアニアの民族覚醒とミハウ・レメル(ミコラス・レメリス)
第4章 ロシア第一次革命に臨むリトアニアの民族運動
第5章 境界領域に生きる人間像
第6章 郷土派群像
第7章 人権派弁護士タデウシュ・ヴルブレフスキ―地方自治と民族自決権
第8章 第一次世界大戦から新生国家の誕生へ―民族対立の葛藤
第9章 ヴィルノ問題をめぐる駆け引き
第10章 ヨーロッパへの回帰
終章 郷土理念のイデオロギー性
著者等紹介
早坂眞理[ハヤサカマコト]
東京工業大学名誉教授。1948年、札幌市出身。1983年、北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。1974~79年、ワルシャワ大学歴史学部およびポーランド科学アカデミー歴史研究所留学。1992~93年、旧ソ連科学アカデミー・スラヴ学バルカン学研究所客員研究員。1994年、ポーランド科学アカデミー歴史研究所客員研究員。1983~1996年、茨城大学教養部専任講師、助教授、教授歴任。1996年~2015年、東京工業大学工学部教授、同大学院社会理工学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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