出版社内容情報
英米における「検閲と発禁」の問題を、猥褻出版物禁止法、コムストック法、D・H・ロレンス等、具体的事例と作品とともに考察。英米における「検閲と発禁」の問題を、具体的事例と作品とともに考察。
【第1部 イギリスにおける検閲と発禁】
イギリスの「検閲と発禁」の歴史(15世紀後半?ポルノ全盛の
ヴィクトリア時代)を概観、初めて成立した「猥褻取締り」法律
(キャンベル法)の成立過程を詳細にたどる。
【第2部 政治・宗教・思想統制と発禁】
16、17世紀の演劇上演の一般民衆への影響を恐れる政治的な動きと、
18、19世紀の識字率の上昇を背景にした保守層と急進層の
出版をめぐる攻防を追う。
【第3部 猥褻と発禁】
20世紀における小説の猥褻性と芸術性の問題として、よく知られる
D. H. ロレンス『チャタレー夫人の恋人』、
ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』を検証する。
【第4部 アメリカにおける検閲と発禁】
徹底した不道徳排斥運動の歴史と二重基準の欺瞞性を
「コムストック法」を中心に再考、
また、チャップリンを取り上げ、
アメリカの思想統制(レッド・パージ)の歴史を追う。
収録内容
第1部 イギリスにおける検閲と発禁
第1章 検閲と発禁の歴史
【市川 仁/中央学院大学法学部教授】
第2章 猥褻出版物禁止法(1857)の誕生と抵抗勢力
【佐藤治夫】
第2部 政治・宗教・思想統制と発禁
第3章 『チェス・ゲーム』上演禁止と劇場閉鎖
【門野 泉/清泉女子大学名誉教授】
第4章 新聞税(知識税)と思想弾圧――1790年代から1850年代において
【閑田朋子/日本大学文理学部教授】
第3部 猥褻と発禁
第5章 ロレンスは猥褻な作家か?
【中林正身/相模女子大学学芸学部教授】
第6章 ありのままを書くジョイス
【小田井勝彦/専修大学非常勤講師】
第4部 アメリカにおける検閲と発禁
第7章 コムストック法とYMCAの時代
【宗形賢二/日本大学国際関係学部教授】
第8章 冷戦期のチャップリン
――「発禁」作品としての『ニューヨークの王様』と
「アメリカの嘆き」のレトリック
【中垣恒太郎/大東文化大学経済学部教授】
英米文化学会[エイベイブンカガッカイ]
監修に『ヴィクトリア朝文化の諸相』(彩流社、2014)、
編集に『英文学にみる動物の象徴』(彩流社、2009)、
『英文学と結婚』(彩流社、2004)ほか。
内容説明
英米における「検閲と発禁」の問題を、具体的事例と作品とともに考察する。
目次
第1部 イギリスにおける検閲と発禁(検閲と発禁の歴史;猥褻出版物禁止法(一八五七)の誕生と抵抗勢力)
第2部 政治・宗教・思想統制と発禁(『チェス・ゲーム』上演禁止と劇場閉鎖;新聞税(知識税)と思想弾圧―一七九〇年代から一八五〇年代において)
第3部 猥褻と発禁(ロレンスは猥褻な作家か?;ありのままを書くジョイス)
第4部 アメリカにおける検閲と発禁(コムストック法とYMCAの時代;冷戦期のチャップリン―「発禁」作品としての『ニューヨークの王様』と「アメリカの嘆き」のレトリック)