内容説明
T.S.エリオットとは対極に立ち、美学と政治(優生学、ファシズム、ナショナリズムなど)の結託を白日の下に晒す―ジジェク翻訳者による、新しく、圧倒的な『ユリシーズ』論。
目次
那1章 美学、カルチャー、モダニティ
第2章 複製技術時代の優生学
第3章 社会衛生学の主体
第4章 数学的に崇高な生殖
第5章 ピグマリオニズム、あるいは関心という病
第6章 テクストのアナモルフォーズ
第7章 ノイズ、未来派、ファシズム
第8章 ジョイスにおける物質性と文学性
第9章 モダニズムの崇高な対象
著者等紹介
中山徹[ナカヤマトオル]
一橋大学大学院言語社会研究科准教授。専門分野、英文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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7ember
1
引用がピンポイント過ぎて、ジョイスの作品論としてはあまり参考にならなかったが、モダニズムの政治性を巡る議論の入門書としては、素人が読んでも面白い。性科学者のハヴロック・エリスがサンドウ体操との関連で引用されているのも興味深かったが、メインはやっぱりジョナサン・クレーリーの議論を参照したモダニティについての議論と、ジェイムソンの「モダニズムと帝国主義」に触れている結論部だろうか。個人的にはいままでなかなか踏み込めないでいた「美学イデオロギー」について触れてくれていたのがありがたかった。2014/07/19
tubokabi
0
ジョイス論としては素人なので、単純に面白いという以外何とも言えないが、ボディビルディングの話とか照応関係にあるユダヤとか女性論みたいなのは一つの社会学的論考として興味深い。最終的には「全体なき部分」というドゥルーズ&ガタリが言いそうな概念も登場して、おっ、っと思ったり。ジジェクはソレっぽいことしか言わない印象だったけど、「問いから答え」ではなく「答えから問い」を導くという思考様式は示唆に富むねえ。2018/01/30
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