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内容説明
彼がオリジナルで、自分が複製された男なのか!孤独な現代人の苦悩とアイデンティティの危機をミステリー仕立てで描いたポルトガルのノーベル賞作家サラマーゴの傑作。米国で映画化。
著者等紹介
サラマーゴ,ジョゼ[サラマーゴ,ジョゼ][Saramago,Jos´e]
1922‐2010。ポルトガルのサラザール独裁体制が崩壊した1974年のリスボンの春以降、ジャーナリストから作家に専念し、国民的作家となる。1998年ノーベル文学賞を受賞
阿部孝次[アベコウジ]
1957年大阪市生まれ。東京大学教養学部卒。1982年からマドリード・コンプルテンセ大学留学。読売新聞東京本社を経て、東京読売サービス勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
122
ポルトガルの抱える闇のような暗さと狂気が潜む。日本などの都会ほど孤独感はないだろうに。こういう事態になればもはや正気ではいられまい。読んでいても不可解な感じ。先月読んでよくやからず、もう一度読んでからの感想をと思ったが、やはり最初の数十ページで萎えてしまった。原文のポルトガル語を見ていないからなんとも言えないが、1ページに詰め込まれる文字が多すぎるし、訳も不自然だ。「白い心臓」を読んだ時も思ったが、スペイン語からの訳者が増えることを望む。ラテンアメリカ文学で読みたいものはたくさんあるのだから。2017/02/25
どんぐり
89
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ジェイク・ギレンホール主演で映画化もされているサラマーゴの小説。ビデオ映画のなかに自分とそっくりの男を発見したことから、パンドラの箱を開けてしまった男の話である。顔といい声といい、身体の同じ部位に同じ傷をもち、誕生日も同じ、何から何までそっくり。そこに双方の女性が登場し、相手の私生活に入り込み侵食していく。「鏡に映る虚像は、鏡から見た実像」。映画のほうはラストに化け物じみた蜘蛛が出てくる。なんだ、これは。→2022/08/01
keroppi
58
「メッセージ」「ブレードランナー2049」の監督ドゥニ・ビルヌーヴの映画を観て、その不条理な世界感に引き込まれ、原作を読みたくなった。ノーベル文学賞を受賞したジョゼ・サラマーゴ、初読みだが、会話も含めて改行がほとんどない文字の洪水に始め恐れをなした。読み進めると、その文体が、自分は誰なのか、誰と会話しているのか、今、どこにいるのか、不安感をかき立ててくる。映画は、映像的な脚色があることが分かり、ビルヌーヴのセンスをあらためて実感した。ラストが、いかにも映画的な映画と、文学的な小説と、それぞれに光っている。2018/08/20
Vakira
40
数週間前に「複製された男」の映画を見た。難解さに心を魅かれ、原作本を読めば解が得られると思い読んでみた。映画はほぼ原作通りだった。映画には大きな蜘蛛が出現しましたが、これはヴィルヌーヴ監督の一つの解演出なのでしょう。原作にはなし。して解は?う~ん?自分とそっくりの他人の存在の物語は、「乞食と王子」とかドストの「二重人格」とか、普通にドッペルゲンガーとかあるので、別に解を説くと言うより入れ替わり人生のハラハラ、エッチドラマをサスペンス調に楽しむっていった感じでしょうか。文章構成、会話の段が切れず読み辛い。2015/08/12
sora
31
本を開いて「わぁ~~~~」こんなに行間の狭い本は久しぶりです。マッシモの告白?独り言?で話が進み、途中で瓜二つのアントニオとの会話が成立し・・・なんだか、こんがらかりながらも、一生懸命に読みました。結末は、ある程度予想どおりでした。二人が存在して幸せに暮らすなんて、ありえないようです。ノーベル賞受賞作家ですの書いた小説です。2014/07/16