内容説明
元特務工作員が貴重な戦場写真400枚を初公開。92歳、現役の桶狭間の戦い研究家のライフヒストリーと軍事・歴史上の重要写真が交錯する稀有なビジュアル歴史読本。資料の少ない日中戦争の「華中」戦場写真、とりわけ宣撫工作にかかわるモノを中心に、工作に携わった梶野氏の特異な軍歴(兵隊らしくない兵隊)から日中戦争を概観する。
目次
吉田准尉慰霊式
定遠南方地区討伐戦
淮南作戦
張山集の戦い
四河子警備隊
宣撫工作
瓦埠河作戦
「大東亜戦争一週年紀念」式典
南京視察
「酔翁亭記」
宿県移駐
国府軍救出作戦
頴水作戦
光二号作戦
著者等紹介
広中一成[ヒロナカイッセイ]
1978年、愛知県生まれ。愛知大学大学院中国研究科博士後期課程在学中。三重大学非常勤講師。主要業績「故宮博物院からの金属製文物の対日『献納』」(『軍事史学』第179号、錦正社、2009年12月所収。同論文で平成23年度軍事史学会阿南・高橋学術研究奨励賞を受賞)
喜渡[カジノワタル]
1919年生まれ。愛知県出身。1940‐1946年まで日本軍兵士として中国戦線に従軍。1942年からは宣撫、特務工作に携わる。在住地の桶狭間の戦いの研究者としても有名。現在も数多くの講演をこなす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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Toska
10
日中戦争を戦った元陸軍曹長・梶野渡氏が所有する膨大な写真を、研究者らがアルバムとしてまとめたもの。小休止で道端に寝転がる兵士たち、工兵隊が架けた簡素な橋、黄河決壊の爪痕を残す凄まじい泥濘など、前線の空気を伝える貴重な写真が多数。特に重要なのは梶野氏が中国人への宣撫工作を担当していたという事実で、その活動の一端を知ることができる。また、温泉地における負傷兵の療養光景も珍しい。後に傷痍軍人の定番となった白衣に軍帽スタイルは、元は療養兵のユニフォームであったようだ。2023/07/29
鍵窪錠太郎
4
タイトルは少し大げさな感が有るが、内容は支那事変(日中戦争)の後方部隊で従軍した兵士のキャプション付きの写真集。憮然工作と戦友や現地住民らとの話がメインで、大陸での戦争全体から見れば少数例な話なのだと思う。全体を通じ、戦場で敵国人同士でもある程度までは分かり合うことも不可能では無いのだなぁ、と。もっとも、これは人に高圧的にならないよう努め、中国文化にも理解が有り、陸軍曹長まで進級した梶尾氏という特殊な例だからなのかも知れないし、一般的な事例では無いのだろう。読後感は悪くなかった。2017/11/26
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