内容説明
8年間勤めた工場をリストラされた若い男。今の生活から抜け出したいと思いながら、日々、仕事に向かうその妻。認知症がはじまった数学者の老婦人。若者の就職難、独居老人の行く末をカナダ人ならではの温かい目で描き出す。
著者等紹介
モハー,フランク[モハー,フランク][Moher,Frank]
1955年、カナダ・アルバータ州エドモントン生まれ。地元のアルバータ大学を卒業後、1970年代末から80年代にかけて若手社会派劇作家・演出家としてエドモントンを拠点に活躍。現在はブリティッシュ・コロンビア州ナナイモ市のマラスピナ大学で教鞭をとる傍ら、同地のウエスタン・エッジ劇場を主宰、地域演劇の振興に努めている。代表作「やとわれ仕事」はアメリカ、ニュージーランド、アイルランド、日本などで度々上演され、1993年度ロサンジェルス・ドラマリーグ賞に輝いている
吉原豊司[ヨシハラトヨシ]
1960年早稲田大学卒業。70年、住友商事駐在員としてカナダに渡航。トロント、バンクーバー、エドモントンの各地を転勤。仕事の傍ら、日加演劇交流に注力し、カナダ戯曲の邦訳40本、日本戯曲の英訳5本、日本劇団のカナダ巡演プロデュース等の実績を持つ。2000年、住商退職後、カナダ・アメリカ戯曲専門の演劇制作集団「メープルリーフ・シアター」の創設に参画。カナダ・マクマスター大学名誉文学博士。02年、第9回湯浅芳子賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
69
カナダの現代戯曲。あまり学歴のない若い二人と、高学歴だったけれども認知症になった老婦人。認知症になったフィリップス夫人にとって、未来はあまり輝かしいものではない。学歴の低い夫婦にとっても、未来はそれほど輝いてはいない。対照的でありながら共通点も多い三人は、三人そろって、とても人間的なやさしさ、温かさにあふれている。現代社会の問題点を指摘しているのに、その内容は、やさしさにあふれている。 2019/03/17
とらきち
0
カナダ現代戯曲。若者の就職難、老人の孤立、現代社会がかかえる問題に解決策はあるのか。一応解決策らしきものが示されているのですが、老婦人が貧乏だったとしても、若いふたりが同じ行動をとったかは疑問です。世の中お金なのねと、ひねくれた私は思いました。2012/02/17
葛
0
2011年9月15日発行 著者:フランク ・モハー 訳者:吉原豊司 発行者:竹内淳夫 発行所:株式会社彩流社 印刷:明和印刷(株) 製本:(株)難波製本 装幀:虎尾隆 定価(1500円+税)2019/11/09