内容説明
トルコ知識人、宗教家らへのインタビュー13篇を収録。「トルコ」はどこから来て、どこへ向かうのか―EU加盟、ギリシャとの確執、クルド問題、コンスタンティノープル総主教座の行方…。トルコが抱える諸問題はなぜ生まれ、どうなっていくのか?重層する歴史の縦軸を自在にたどり、現代トルコの「今」を見つめる。
目次
第1部 トルコの今―変わりゆく思考(「第三のキリスト教」への接近―共生への回帰の使者;現代のコンスタンティノープル―過去とつながる現在 ほか)
第2部 トルコから消えたギリシャ人―歴史が変えられた日々(トルコとギリシャ骨肉の相克;破綻した同胞愛 ほか)
第3部 「ビザンツ」と「オスマン」が残した課題―様々な「他者」たち(クルド人;アルメニア人 ほか)
第4部 未来への模索―モザイク国家の真の価値(キリスト教とトルコ共和国 解放の時と永遠の絆;一〇〇年目、「トルコ人」としての「幸せ」は ほか)
著者等紹介
野中恵子[ノナカケイコ]
トルコ研究者・作家・ジャーナリスト。1965年高知県生まれ。関西学院大学文学部卒。在学中の“開眼の地”としてのトルコ渡航を機に、その現代事情と歴史をテーマにし、現場からの考査を重視した執筆活動を続ける。映画を中心に、トルコ文化関連の仕事にも携わる。現在、慶應義塾大学文学部非常勤講師、NHKワールドニュース「トルコTRT」通訳者等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スミレ雲
4
【図書館本】トルコに関する本、初めて読んだ気がする。ビザンツ帝国との関係で考えたこと無かったから、目から鱗。トルコとギリシャの関係も考えたことなかったけど、近しい関係にあるというところが新鮮。地名、人名といった固有名詞が教養なさすぎる僕にとって、空間的に、時間的に、紐づけできず、宙ぶらりんだけど、もっと知りたくなった。アジアとヨーロッパ、東洋と西洋を考えるのにとても良い材料のような気がする。2018/12/15
ELW
2
ギリシア,アルメニア,トルコの微妙な関係が想像以上にデリケートなことがよく分かった。高校生のころには、オスマン・トルコだったのに、気づいたらオスマン帝国になっていたのもむべなるかな。トルコのEU加盟が、 民族・宗教に寛容なビザンツ,オスマンの継承になることを願う。『わたしの名は「紅」』を読んでおいてよかった。2016/11/22
可兒
2
各論の前にある当事者たちの発言が興味深かった2012/05/22
牛タン
1
ビザンツの継承者オスマンと、その後継者トルコ共和国の中に連綿と受け継がれてきた宗教性・地域性・民族性の話。各章の冒頭に関係者の発言が収録されており面白い構成だと思った。しかし話があちらこちらに飛んで要旨が掴みづらかったり、破格の文章や複数の意味にとれる文章が多かったりして、全体的に読みづらかった。451年のカルケドン公会議がその後の当地域の民族問題や宗教問題に決定的な影響を及ぼしたと言うが、本書を読んでもいまいちその言わんとしている事が掴めなかったのは僕の理解力・知識不足のせいだろうか。2015/01/22