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内容説明
アイルランドが生んだ現代最高の短編作家、珠玉の12編。行間ににじむ余韻で登場人物の意識の動きを描き切る―トレヴァー独特の心理描写が冴える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
133
苦いお話ばかり。切ないとか悲しいというより苦い。少し冷めた目で見ている。本当に愛し合う人たちの悲しみなら共に浸れるが、少し突き放して、「ねえ、しょうがないだろう」と同意させるような…。諦観というか、これもC'est la vieという事かもしれない。心が弱っている時には、なかなか読み進められない短編集。2017/02/26
シュシュ
38
トレヴァーの短編の中でも、アイルランドを舞台にしたものに、なぜか特に惹きつけられる。「失われた地」には驚いた。家族の物語だが、アイルランドの宗教の対立や紛争が背景にあって深いものを感じた。「馬鈴薯仲買人」の夫の静かな辛抱強い寛容さが心に残った。トレヴァーはこの本でも、他の本でも、知的障がいの子やダウン症の子を当たり前のように登場させる。温かいまなざしが感じられて、そういうところも好き。2016/12/24
星落秋風五丈原
23
他のレビュアーも述べているように表紙絵とそれぞれの作品タイトルの絵のギャップがあり過ぎる。訳者を統一しなかったため語句などに統一感がなく校正も雑。「アフター・レイン」は『聖母の贈り物』にも同掲。『ピアノ調律師の妻たち』目が見える妻たちには自分の嫉妬やエゴが見えておらず盲目の夫に見えてしまうという皮肉。2015/08/01
miyu
14
トレヴァーはトレヴァーなので語る内容自体はやはり素晴らしい。しかし前の2冊(聖母の贈り物、アイルランド・ストーリーズ)は両方とも一気に時間が経つのも忘れて読み終えたにも関わらず、この「アフターレイン」は進まないことこの上なく。たぶん翻訳者が一人じゃないのが原因なのではないか。全く統一感に欠けるので、1篇読む度にまるきり気持ちを入れ替える作業が必要なのだ。前2冊では短編12作をあたかもひとつの長編のように読んでいたんだと、改めて感じた。原語で読めない限り、私たちには優れた翻訳者が必要だ。苦言はコメントで。2014/08/17
mi
13
12編。素晴らしい内容だった。「ピアノ調律師の妻たち」が特によかった。2017/12/05