出版社内容情報
子どもたちに〈おはなし〉をせがまれたマンザンダバは、〈おはなし〉を探しに出かけます。動物たちにたずねてまわりますが、なかなか見つかりません。ウミガメの背に乗って、海の底へつれていってもらうと、そこには……。
かつて文字を持たなかったアフリカの人々にとって〈おはなし〉は、風習や歴史を伝え、自然を解釈し、子どもたちに生きる知恵を与える、文化の土台でした。
南アフリカのズールーの人びとに伝わるむかしばなしです。
内容説明
こどもたちにおはなしをせがまれたマンザンダバは、おはなしをさがしにでかけました。動物たちにたずねてまわり、ウミガメに海の底へつれていってもらうと…
著者等紹介
さくまゆみこ[サクマユミコ]
東京都生まれ。翻訳家。訳書は、絵本からYA小説、研究書まで250点を超え、産経児童出版文化賞大賞、日本絵本賞翻訳賞、IBBYオナーリスト・JBBY賞など受賞多数。アフリカ人作家、アフリカ系アメリカ人作家の作品も多数翻訳し、アフリカ子どもの本プロジェクトの代表としても活動。日本国際児童図書評議会(JBBY)前会長
保立葉菜[ホタテハナ]
東京都生まれ。個展、グループ展での作品発表のほか、装画、挿絵、絵本、パッケージなどに版画を制作している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さばずし2487398
29
家族のためのお話を探す旅と、海の底の精霊とお話を交換する方法との二つの構成。亀に乗って精霊の宮殿へ行くところは浦島太郎ではないか。その後お話を教えて貰う為、精霊から授かった手段が貝殻に耳を当てる事ってなんて素敵。 木彫りは南部アフリカ種族の伝統的な男性の仕事との事。その木彫り見てみたい。文字が分からなかった頃は口頭のお話を通じて伝統や教訓を伝えていたのは日本も同じだろう。文字が分からなかったら人に聞くしかない訳で、その頃の大人は大変な責任を背負っていたんだなあ。絵が皆ニコニコ。ほんわかした良いお話だった。2025/08/16
みさどん
25
文字がなかった時代には口承文芸が当たり前。自分が話せるおはなしがなくて、お母さんはそれを探す旅に出る。その旅そのものが物語にあふれそうなものじゃないか。淡々と描かれる出会いが愉快で、おはなしが貝に託されているのはロマンチック。浦島さんのような展開さえあるのだもの。昔はどこの村にも語り名人がいたのだろうな。2025/05/03
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
12
南アフリカのズールーの人たちに伝わる昔話。子どもたちにせがまれ「おはなし」を探す旅に出る母マンザンダバ。色々な動物たちに聞きながら海の底の精霊の国で「おはなし」を教えてくれると言われます…。マンザンダバが手に入れた「おはなし」とその過程の「おはなし」の二重構造になっています。2025/02/11
かはほり
7
アフリカの民話の本は、出版数が少ないので子どもに読んであげたい。アフリカにも海があるのは承知していたが、ウミガメにのって海底の宮殿に行くという展開にビックリ! 日本人の手による木版画の挿し絵見事!2025/01/18
らんどるる
6
図書館本。子どもにせがまれても、語るおはなしが浮かばず、おはなしを知っている人が村におらず。そこで、おはなしを探しにい。動物たちに聞いてみるがなかなか見つからない。ウミガメが見つかりそうなところとして海の底の精霊の民の宮殿に 案内してくれ、そこでおはなしを手に入れるという話。手に入れるまでの過程もおはなしになるが、手に入れようとしたおはなしは、架空の世界を舞台にして深い知恵を伝えるようなものだったとあとかきにあり。なるほど。(5分) 2025/03/15