内容説明
三カ月間で四人の警官が殺された。ひざまずかされ、額に一発の銃弾を受けて処刑されたのだ。目撃者もなく証拠も出ていないために、容疑者はいない。警官たちが犯人を“アトランタ・シューター”と呼びはじめたなか、五人目の犠牲者が出た。いままでと犯行スタイルが異なっていることから、犯人は“シューター”ではないかもしれないという意見が出る。男性警官の意見しか重要視されないものの、マギーはほかの警官の見解に納得できない。彼女は独自の捜査をすることにしたが―。人種差別や女性蔑視が横行する一九七四年のアトランタを舞台にした犯罪小説。
著者等紹介
スローター,カリン[スローター,カリン] [Slaughter,Karin]
アトランタ在住の国際的なベストセラー作家。サウスジョージアの小さな町で生まれ育つ
出水純[デミズジュン]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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巨峰
73
なぜこの作家の小説がこんなにも血と暴力にまみれているのかよくわかる作品。舞台は1974年のアトランタ。全米屈指の犯罪都市。そこはベトナム戦争帰りの魂の荒廃した人々で埋もれ、人種差別、性差別、同性愛者に対する差別が数多の暴力と殺人をうんでいた。その街で起こる連続警官殺人事件を、若くて美人で巨乳だけどユダヤ人の新人警察官の目を通して描く。著者の生まれ故郷の近い過去を描いた力作です。2017/12/17
future4227
56
人種差別。男尊女卑。同性愛者への嫌悪。警察官の職権濫用。セクハラ、パワハラ、DV、ヘイトスピーチ、なんでもありの1970年代のアメリカ。公民権法が成立した10年後といえども酷い有り様。そんな劣悪な環境の中でも、逞しく奮闘していく女性警官たち。容疑者の見当もつかない警官連続殺人事件に着任1日目の女性警官ケイトが、心が折れそうになりながらも果敢に挑んでいく。女性は強いなぁ。そして男はアホだなぁ。カリン・スローターの作品では珍しく被害者が男性だけの作品だが、女性に向けられた作者の温かさを感じる極上ミステリー。2019/01/09
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
36
1974年のアトランタ。黒人差別はやって当たり前。そして女性の地位の低さも全くフツーの世界。そこで四苦八苦しながら仕事する女警官のマギーとケイト。「どうして?」と聞いただけで姪であるマギーを張り飛ばす叔父テリー。「女は鼻の下の割れ目を閉じていろ」という訳だ。軍隊の初年兵のイジメの様な新米警官ケイトへのいやがらせ。いやもう、ストーリーよりもこの叔父テリーをはじめとするクソみたいな男どもに腹が立ってならなかったよ。ユダヤ人でもあるケイトの祖母や母の悲惨な体験も興味深かった。2017/10/04
たまきら
33
諸先輩らと、職場などで主に男性から受けてきた様々な不当行為について話が盛り上がることがあります。モラハラやセクハラといったそれらはどこの国であろうと変わらないけれど、1970年代のアメリカ南部の巨大都市、アトランタの警察という業界の凄まじさにはもうあんぐり。女性が一人で銀行口座を作れないとは!いやはや…。凄惨な事件だし胸が悪くなったりもしますが、成長する女性警官らににやり。悲しいけれど強くないと生き残れない現実は今もある。だからこそ最低なやつに血まみれタンポンな女子のパワーを!かなり面白かったです。2018/05/28
ましゃ
32
ふと日本人もアメリカ人をもっと知る必要があると思い、何か良い作品はないかと探していたら気になっていたカリン・スローターでそういう作品があったので読了。やはりアメリカの人種差別というのは日本人には到底理解出来ないものであるし、アメリカ社会は複雑だと思わされた作品。マギーとケイトの関係のようにアメリカ自身から差別が減り、自由の国になるよう願わずにはいられない良い作品だった。改めて黒人のオバマが大統領になったのはすごい事だったと考えさせられたし、今トランプになって再び差別主義が増えないか…心配に思う。2017/04/30
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