内容説明
幼い頃から州脇義国のなかには、宮沢という若い男がいた。宮沢は、過去に愛した女への未練を昇華できず、現世の自分(州脇)のなかにとどまり続けていた。そんなある日、大学で知り合った英一が、宮沢の想い人の転生であることを知った宮沢は、果たせなかった彼女との幸せな日々を、英一で遂げようと英一に付きまとうように。英一会いたさに州脇の身体も、意識さえも自由に支配していた宮沢だったが…。なんと!文庫でしか読めない大量番外編付き。
著者等紹介
木原音瀬[コノハラナリセ]
10月27日うまれ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那義乱丸
13
借り本。絶版モノの古い作品は展開も結末も木原さんらしくてのめりこむようにして読んだ。前世の思念に振り回される男たち。愛情が偏執的に振り切れてしまってストカそのものだけどそれは一途と紙一重。だからこそ怖い。前世のもつれた関係をなぞりながらも現世の二人は彼らだけの愛の形を紡ぎだしていく。人間の感情は理屈や理論では割り切れないものだと実感。『好きという気持ちに気づけないのは幸か不幸か』それは本編、後日談、スピンオフ番外編を通した問いかけで、この本のエンド後に遺された船橋はどんな答えを出すのだろうか。深い余韻。2012/10/18
cicoppe
12
木原先生の輪廻転生ものだと聞きずっと読みたかった作品。自分の中に前世の宮澤という男が存在している州脇×前世宮澤の想い人だった文の生まれ変わりの有田(「恋愛時間」の有田の弟) 宮澤は生前も没後も自分勝手で酷いヤツだ。振り回された州脇と有田は、気の毒としか言いようがない。結局両想いになったものの、どうもハッピーエンド感がない。半端ない痛さがある。スピンオフの「F」は不思議な作品でした。私は船橋は気付かなくていいと思うのだが。あと「F」で出てくる缶コーヒーは昭和40年には一般にはまだ出回ってない。2017/04/20
おかーきゃん
4
「恋愛時間」に出てた男と駆け落ちした有田の弟のお話。「恋愛時間」と比べるとこちらの方があー木原作品だなと思える登場人物たち。2016/05/07
e r i .
4
ヘビーな内容だった。前世の辛く悲しい出来事も現世で出会えて昇華したのかも知れないけれど何だかまだ物悲しい。ハッピーエンドなのに寂しさが残る作品。2013/04/27
ぴー
3
木原さんらしい話だった。前世の結末に泣いてしまった。全然生まれ変わりも救われてないんだけど、愛が生まれたからまだましなのか?番外編の和久と船橋は、最後の告白で残された方がどう生きていくのかでモヤモヤ。面白いのにモヤモヤ感の残る名作だった。恋愛時間読みかえす/再読。やはり前世が死んだくだりが泣ける。もう一回生まれ変わったらしあわせになれるんじゃないだろうか2012/03/11
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- 和書
- あの娘は石ころ 双葉文庫