内容説明
あなたの「いま・ここ」がゆらぐ―奇怪な、けれど妙に切ない9つの物語。
著者等紹介
柴田元幸[シバタモトユキ]
1954年東京生まれ。東京大学教授。アメリカ文学専攻。数多くの現代アメリカ文学の翻訳者として知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nuit@積読消化中
113
翻訳家の岸本佐知子さんがtwitterで「ニコルソン・ベイカーのジャガイモが人を襲う正統派ゴシックホラーが怖いのに笑える」と呟いておられたのでさっそく手に取った。確かになんだかププッと笑えてしまうが妙にゾワゾワと怖いし、誰かこれ映像化して〜と思う。他に現代幻想小説家を代表する作品が柴田元幸さんの編・訳で読めたのが嬉しい。なんと言ってもエリック・マコーマックと出会えた事への喜び!なにこれ?とてもすごい好きな世界観!そして、ラストを飾るケリー・リンクもとても良かった。満足の一冊です。2017/12/15
ケイ
100
かなり幻想が強い短編が多い。さすがにこれだけ並ぶと、途中で普通の小説を読みたくなった。幻想の世界に浸るというのは、かなりの想像力を必要とするもので、楽しもうと思うほど、読み手の想像力を駆使して付いて行かなれけばならないのだと痛感した。『地下道の査察』(エリック・マコーマック)が一番好み。一番付いて行き易い話でもあった。『雪人間』(スティーブン・ミルハウザー)も良かったが、こちらは原題のsnowmenのままがわかりやすかったと思う。『彼女』(レベッカ・ブラウン)もわかりにくかったが、惹きつけられた。2015/08/31
かりさ
67
柴田元幸さん最高の編訳。まずマコーマックの「地下堂の査察」に歓喜。オーツ「どこへ行くの、どこ行ってたの?」はオーツ独特の恐怖や悪意を感じながらも心奪われていく様が秀逸。奇妙と恐怖の不条理な味わいの世界に、深く漂う至福の読書時間でした。他、虚無への恐怖ピーター・ケアリー「Do You Love Me?」、作者の見事な幻視世界ウィリアム・T・ヴォルマン「失われた物語たちの墓」、魅力的なカタログのようケン・カルファス「見えないショッピング・モール」、甲冑の女王との幻想的な愛レベッカ・ブラウン「魔法」、2018/12/06
キジネコ
28
ジョイス・キャロル・オーツが どんな作家なのか?知りたくて手にした2冊目の本に収められた短編、「どこへ行くの~」アリゾナ州で実際に起こったティーンエイジの女の子と「カリスマ」連続殺人鬼をめぐる事件を題材、ボブ・ディランへの献辞が添えられています。「ベイビー・ブルー」の取り憑かれるようなメロディは、物語の雰囲気に美しくマッチしているように思う、とご本人。献辞を付した事に特に意味はないらしいが。ゆっくりと出口を塞がれる様な不安・息苦しさ・・異彩を放ち神経に直に触れてくる。深くダイブして見たいが・・戻れるかな?2013/10/10
きゅー
17
柴田氏のセレクションが素晴らしい短編集。まずはエリック・マコーマックの「地下堂の査察」から始まる。本作は、別の訳者により翻訳されているが、柴田訳のほうがすっきりと分かりやすく読めたような気がした。やはり、背徳で後ろめたい雰囲気が素晴らしい一編。そして「どこへ行くの、どこ行ってたの?」はジョイス・キャロル・オーツによるもの。なんだかうす気味が悪く、読後感の悪さが後を引く、意地悪な物語。その他、ケン・カルファスの「見えないショッピング・モール」も掌編ながら非常に面白い。どの作品もぶっ飛んでいて素晴らしい。2013/10/09