内容説明
十石二人扶持という身分の下級藩士である河合富士太郎はある日、若殿・又一郎の側用人という重役に呼び出される。そのご下命とは、好色の又一郎が物頭役・玉村小左衛門の娘・雪乃に大層ご執心で、すでに養子に決まっている相原弓之助を斬れ、という無体なものであった。律儀な富士太郎は、筋のとおらない忠義に反発し、脱藩を決意。江戸へ出立する。だが、雪乃の行く末を気遣う小左衛門に、娘も連れ立つよう懇願される。いざ請け負ったはいいが、追っ手の襲撃は執拗であった。命をかけて雪乃を守る富士太郎―。そんな二人はいつしか、離れられない関係になってゆくが、熱い恋情を遮る、意外な強敵が現れて…。国民的人気作家のシリーズ第二十弾!!
著者等紹介
山手樹一郎[ヤマテキイチロウ]
1899年、栃木県生まれ。編集者を経て文筆生活に入る。1940年より新聞連載を始め翌年刊行の『桃太郎侍』が大人気を博し、時代小説家としての地位を不動のものとした。その後も国民的人気作家として活躍し、映像化作品も多い。1977年勲三等瑞宝章を受章、1978年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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