内容説明
吉原の裏長屋で診療所をいとなむ医師・沢村伊織。表には出せぬ遊女の診察や金持ちの精力剤作りなど、なんともいかがわしい商売ではあるが、この伊織、幕府御典医の名家に生まれ、シーボルトの弟子となって西洋医術を会得した、凄腕の医者でもあった。そんな伊織のもとに、ある日、若い同心が訪ねてくる。名前を聞いたところでいっこうに覚えはないものの、男の顔を見たとたん、長崎留学時代の鮮烈な思い出がよみがえってきた。同心は、いまは粂之丞と名を変えた、かつての同輩・中島栄次郎であったのだ。ひさしぶりの再会に友誼を深めあうふたりであったが、中島は伊織に、ある挑戦的な提案をする…。大好評・医術時代の第四弾!
著者等紹介
永井義男[ナガイヨシオ]
1949年生まれ、97年に『算学奇人伝』で第六回開高健賞を受賞。本格的な作家活動に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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