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ハンセン病叢書
エプロンのうた―香山末子詩集

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  • サイズ B6判/ページ数 304p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784774403199
  • NDC分類 911.56
  • Cコード C0095

出版社内容情報

韓国人として生まれ来日後にハンセン病を発病、草津の療養所で74歳の生涯を閉じた。詩集『草津アリラン』『鶯の鳴く地獄谷』『青いめがね』から再編集。異国語(日本語)で口述された名詩の数々がここによみがえる。

「序にかえて 故郷の畑を舞う蝶々――痛切な夢を生きぬいた詩人」(森田 進)
「望郷」
「消えた足あと」
「わたしの指と眼」
「硝子戸と冬」
「ふきのとうと梅の花」
「手さぐり」
「風と柳の木」
「先生の声が」
「夢の中の子供」
「エッセイ テレビと洗濯機」
<再録>「解説 ひとりのアリラン」(村松武司)
「母への想い――あとがきにかえて」(榎本初子)


(前略)苦しい日が続いた頃、群馬県から、母のことをよく知る、かつて福祉関係に携わっていたという人の訪問を受け、私のことが叔父の方から母にも知らされ母も衝撃を受けたとのことでした。しかし、そのとき聞かされたことはまた、私にも苦しいことでした。母は発病して家を出る時、一歳の赤ん坊を背負って出たこと、私の弟に当るその人は栗生楽泉園の保育所に預けられ、成人して後は、消息がわからないという。私は父が男の子に執着し、いつも淋しそうだったことがわかったような気がしました。
 訪問者は母の詩集『青いめがね』を私に手渡し、「末子さんには黙ってきたが、できれば逢ってやって欲しい」と涙を流し立ち去りました。はたから見ればドラマチックな話で放っておけないのでしょう。でも苦しさは……続きました。
 今日こそはと電話に手は延びても、電話の向こうの母が現実になるのが苦しく、ダイヤルを最後まで廻すには長い時間が要りました。
 ようやく掛けた電話の向こうで、母の声は闇の底から絞りだすような声でした。きっと母も電話の向こうで息を殺して待っていたのではないでしょうか。母にとってもこのことは寝耳に水で、「いま頃は子や孫に囲まれているとばかり思

故香山末子さんの3冊の詩集を、娘の榎本初子さんが再編集しました。「異国語(日本語)で口述する彼女の詩が、どれほど豊かな情感に支えられているか、読者は驚きをもって確かめうるだろう。」(大岡信)

目次

望郷
消えた足あと
わたしの指と眼
硝子戸と冬
ふきのとうと梅の花
手さぐり
風と柳の木
先生の声が
夢の中の子供
エッセイ テレビと洗濯機

著者等紹介

香山末子[カヤマスエコ]
1922(大正11)年1月27日、韓国に生まれる。本名、金末壬。日本名、香山末子。1941(昭和16)年3月渡日。1944(昭和19)年発病。1945(昭和20)年12月8日、栗生楽泉園入園。1996(平成8)年5月4日、没
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