出版社内容情報
ジャコメッティがこよなく愛し、ピカソをして「もっ
とも美しい美術論」と言わしめた「アルベルト・ジャ
コメッティのアトリエ」。
ジュネ自身の容貌と驚くほど類似した自画像を描いていたレンブラントへの、尽きることなく深まる関心。ジュネの実生活と文学創造の転換期に書かれ、その双方を鋭く「カット」する「描線」のようなジュネ芸術論6編。
アルベルト・ジャコメッティのアトリエ
綱渡り芸人
レンブラントの秘密
犯罪少年
……という奇妙な単語
小さな真四角に引き裂かれ便器に投げこまれた一幅の
レンブラントから残ったもの
訳者付記
目次
アルベルト・ジャコメッティのアトリエ
綱渡り芸人
レンブラントの秘密
犯罪少年
…という奇妙な単語
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
85
ジュネの芸術論を集めたものになります。学術的というより、芸術そのものの視点で論じているのが特徴といえるでしょう。若干難しく感じたのはジャンル的に疎い方面だったからかもしれません。ただ、これを読み興味がわいたのも事実です。2017/11/29
ぽよぽようと
5
ジュネの芸術評論。芸術評論は学問によって書かれていることが多く、芸術によって書かれているこのような作品は少ない。控えめに言っても最高で、その辺の小説や詩や映画よりずっと面白い。特に綱渡り芸人は最高オブ最高。2016/09/08
邪馬台国
4
ジャコメッティの作品を触っているような文章に心が震えた。涙腺にくるような万物への愛を感じた。綱渡芸人のストイックすぎる話も興味深かったけれど、その他は肌に合わなかった。残念。2013/03/11
瀬希瑞 世季子
3
泣けるジュネ2023/01/04
uchiyama
1
言ってることは分かるけど、なんとも説教臭い感じの愛の告白が疲れる「綱渡り芸人」の読後感が、「小さな真四角に引き裂かれ便器に投げこまれた一幅のレンブラントから残ったもの」で一気に吹き飛びました。「人生を支配してきたエロチックな主題の数々」から身を離さざるを得ない「まなざし」による等価性の発見を、啓示としながらも、崇高な真理として標語化することなく、それがもたらす「吐き気」からも目を逸らさない、それこそ綱渡りな凄み。「どんなモラルの検討や見直しも私に迫りはしなかった」、「洞察やら知的遊戯を許さない」まなざし。2021/06/02