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出版社内容情報
ニューヨークに暮らす老アルゼンチン人と彼に付添うアメリカの青年。
全編を貫く二人の会話を通して、人間が抱える闇の世界と人の孤独が浮かび上がるプイグ晩年の佳作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TSUBASA
20
全編、病院で介助を受けるラミーレスとその介助人ラリイ2人の会話だけから成る。奇書(キショ)い。正直に言うとほとんど理解できなかった。ラミーレスは精神をやられてるご老体。ラリイもラミーレスの妄言に付き合いつつ彼が持つ歴史的資産を狙っていて信頼できない語り手となっている。すなわち、会話だけで成り立っている二人の語り手が信頼できないわけで。概要はぼんやり掴めるけど、結句何が真実だったのかと言うと説明できない。最後になんとなく手がかりはあったので再読すれば少しは理解できるか?いや、呪われた気分。2019/12/15
白黒豆黄昏ぞんび
13
プイグさんはじめてです。タイトルからして語り手に信用ならんだろうなあと決め込んで読み進めた。果たしてこの対話は嘘か真か、或いは精神を病んだ者の妄想か。この物語を理解するのは難しい。報われなかった不毛な男の物語か。2015/10/17
Roy
12
★★★★☆ まず読むと呪いをかけられそうな題名に惹かれる。全篇において、車椅子の老人とそれに仕える青年との会話だけで成り立っているのだが、嘘をついたりいきなり罵りだしたりで、不穏な雰囲気に包まれた棘のあるかけ引きの物語だった。2章からは哲学を感じさせる話になったり、少し幻想っぽくなったりするがあからさまに説教くさい所も無く面白い。2008/12/20
rinakko
7
とても面白かった。老人と青年の対話から成り立つ風変わりな小説。虚言と妄想がぐねぐねと混じり合い、遠まわしに探り合うかと思えば罵りに一転する…といった按配で目を離せない。抑鬱病をわずらい療養中の老人は、記憶の喪失を主張する。一方付添いの青年は、老人が捕らえられるまでの活動に関心があり…。やがて二人の会話から、彼らの孤独な状況が浮き彫りになる。家庭での父と子の関係、母の役割、妻との関係…それらはどれも歪で不幸だった。だが、男性原理に基づく価値観しか知らぬまま生きてきた彼らには、内省することすら出来ない 2012/07/13
hiro
4
少年の頃母親に連れられていくつも見たアメリカのハリウッド映画に魅せられたからかプイグはブエノスアイレスの大学を出た後、映画の勉強の為にイタリアへ留学、その後デ・シーカ、ルネ・クレマンなどの下で映画監督の道を歩み始めるが、文学へと転向・・・物語はニューヨークのホームに療養の車椅子の老人ラミーレスと彼を週3回パートタイムで散歩に連れて行く青年ライリとのやりとりが・・・「蜘蛛女のキス」と同様のプイグの真骨頂とも言うべき文体でテンポ良く進む。 2020/04/05
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