内容説明
昭和十年代、早熟の学生作家として登壇し、病毒性失明と闘い、横光利一を巡る文壇との暗闘の末断筆に至った―叔父庄野誠一の残した謎の文言を追った渾身の自伝―
目次
第1部 少年の日
第2部 再会
第3部 様々なる墓標
著者等紹介
水野忠興[ミズノタダオキ]
昭和17年4月東京都世田谷区玉川奥沢町に生まれる。十五歳で家族の解体を主張、家を離れ生涯両親と没交渉に暮らす。神経症状の軽減を機に昭和45年医学部入学、内科、精神科専攻。還暦を機に横浜市に心療内科開設現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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チェアー
14
副題の「砂の器はだれが書いたか」にひかれて読んだが、看板倒れ。筆者の印象ではゴーストがいたことは分かったものの、それは自明ではなく、筆者もそのことを「ああそうか」という程度にしか捉えていなくて追及もしていない。内容のほとんどは自分の半生記で、私小説。それはそれで少し面白いのだが、文章が稚拙なのと説明が省かれていてわかりにくいのとで、本としては今三つくらい。2017/10/24
としき
1
サブタイトル見て?推理小説か?蓋を開ければなんと自叙伝!日本史に出てくる天保の改革を行った水野忠邦の末裔が著者だった。我家も先代が亡くなった時に、家系図をお寺で調べた親戚がいた。別に隠すような話でもなかったが、昔はやはり複雑な家系だった。当たり前の話だが、我々は生まれた時から、親は勿論先祖からの血を引き継いで生きている。どう抗おうと同じような運命を繰り返して、子や孫に引き継がれていくのである。親に反抗したり、憎んだりしても、老いてみれば、その親と同じ自分がここにいる。しかし「砂の器」の秘話は衝撃的だった。2017/09/06