内容説明
アンドレ・グリーンの開いた精神分析の新しいパラダイム。彼と直接交流を持った分析家たちによる論考から、その思考をたどる。
目次
序文 グリーンと化す精神分析・カンファレンスの回想(ハナ・ブロウン;アナ・シュトレールヴィッツ)
導入 アンドレ・グリーン―概念パラダイムの樹枝(ロジーヌ・ジョゼフ・ペレルバーグ)
第1章 死と破壊性について(リツァ・グティエレス‐グリーン)
第2章 陰性幻覚、夢、そして幻覚―分析の設定における枠づける構造とその表象(ロジーヌ・ジョゼフ・ペレルバーグ)
第3章 悩ましき身体―心気症、変形、そしてネガティヴの仕事(ジェド・セコフ)
第4章 エドゥアルド・チリーダの作品におけるネガティヴについて(グレゴリオ・コホン)
第5章 知的な寛容性―グリーンのギリシャ性(マイケル・パーソンズ)
第6章 アンドレ・グリーンとのインタビュー―1960年から2011年の精神分析の道のり(フェルナンド・ウリバリ)
第7章 臨床思考について―新たな現代的パラダイムへ向けた精神分析領域の拡張(フェルナンド・ウリバリ)
感想・レビュー
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Bevel
8
ラカンやラプランシュ、ポンタリスとの距離感の感じなどグリーンのインタビューが個人的には興味深かった。「分析におけることばのやりとりのなかで何が起きているかの真の記述を行なうことは非常に重要であること」はそうだなあと。ウィニコットに影響を受けつつ、情動、ナルシシズム、表象がそこで起こる場としての「枠づけ構造」の内面化、そこから広大な「ネガティブ」の領域とデッドマザーコンプレックスが現れることなど。パラダイム・シフトかはわからんけれど、問題意識自体は例えば現代のラカン派を陰にも陽にも引っ張ってそうだなとか。2024/05/07