内容説明
犯罪精神病理学の現代的課題とは何か?「心神喪失者等医療観察法」の導入により、重大な罪を犯した精神障害者の処遇制度が大きく変革された。また「裁判員制度」の導入とともに犯罪者の責任能力が社会的関心を集めている。本書は、大量殺人、精神鑑定、アルコール・薬物依存と犯罪、ハラスメント、ストーカー、虐待と非行、子殺し、など、現代の社会病理と密接に結びついた現行司法精神医学の基本問題を論じた著者長年にわたる臨床研究の集大成である。著者は犯罪行為を通してトータルな人間理解を目指し、昨今、マスコミを賑わす異常犯罪に対する処遇、原因解明についての科学的根拠を示し、社会復帰と再犯防止のための提言を行う。さらに、経験科学的根拠としての責任能力論、司法精神医学の重要性を詳細なデータを基に論じている。
目次
序論 犯罪精神病理学の新たな課題
第1部 司法精神医学と鑑定
第2部 酩酊犯罪
第3部 現代の社会病理
第4部 海外の犯罪研究
精神医学・医療の光と影
著者等紹介
影山任佐[カゲヤマジンスケ]
1948年福島県郡山市に生まれる。1972年東京医科歯科大学医学部卒業。1974年同大学難治疾患研究所犯罪精神医学部門助手。1978‐79年文部省在外研究員(パリ大学犯罪研究所)などを経て、東京工業大学保健管理センター・大学院総合理工学研究科、人間環境システム専攻、都市環境学講座教授。医学博士。専攻:犯罪精神医学・精神病理学、社会精神医学、臨床精神医学、精神保健学、精神医学史、2000年度日本犯罪学会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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