出版社内容情報
「第三世代(認知行動療法の次の世代)の行動療法」の中心的存在である機能分析心理療法の本格的な理論書。
内容説明
FAPは、「治療関係」に焦点をあてた行動療法である。最近、「マインドフルネス」という言葉を耳にすることが多い。FAPは、「マインドフルネス」に象徴される「第三世代(認知行動療法の次の世代)の行動療法」の中心的存在である。そして本書は、FAPの創始者であるコーレンバーグとサイが自ら、彼らだけで書き下ろした最初の本格的な理論書であり詳細な治療マニュアルガイドラインである。心理療法の徹底的行動主義的解釈は、治療者‐患者関係が治療過程の中核であるという結論を導いた。そしてその治療過程の中心には、情動と感情が存在する。本書では、これまで精神分析学派が治療に多大の貢献をしていた重篤な自己の障害である自己愛性障害・境界例・解離性同一性障害を取り上げ、自己の行動的定式化を試みる。また後半部においては、治療同盟と転移、対象関係論の治療モデルが検討され、スキナーを源流とする行動分析を徹底的に追究した果てに、FAPが精神分析と最新の行動療法との間隙を埋めるユニークなアプローチになっていることが例証される。
目次
第1章 イントロダクション
第2章 機能分析心理療法の臨床適用
第3章 機能分析心理療法の臨床適用(補遺)―臨床関連行動に対するセラピストの気づきを促す
第4章 行動変容における情動と記憶の役割
第5章 認知と信念
第6章 自己
第7章 機能分析心理療法―精神分析と行動療法の架け橋
第8章 倫理、スーパービジョン、研究、および、文化の諸問題に思うこと
著者等紹介
コーレンバーグ,R.J.[コーレンバーグ,R.J.][Kolenberg,Robert J.]
カリフォルニア大学ロサンジェルス校で臨床心理学のPh.D.を取得。ABPP。現在、ワシントン大学心理学教授。1997年から2004年にかけて、ワシントン大学心理学部臨床訓練ディレクターを務める。1999年に、ワシントン州心理学会から傑出した心理学者として表彰される。AABTにおいてマスタークリニシャン・ワールドラウンドセッションを行い、偏頭痛、強迫性障害、うつ、治療関係の親密さ、自己理解への機能分析心理療法(FAP)的アプローチに関する論文を発表してきている。米国内外でFAPの研修会を開催し、FAP開発のための研究助成金を受けている
サイ,M.[サイ,M.][Tsai,Mavis]
ワシントン大学で臨床心理学のPh.D.を取得。心理療法クリニックを開業し、ワシントン大学において臨床指導者としてスーパービジョン、教育、研究に携わっている。専門領域は、PTSD特に対人トラウマの癒し、夫婦療法における権力問題、心理療法への東洋思想の導入、人種ならびにマイノリティーグループ、アジア系アメリカ人の努力と成功、目的と情熱の回復を通した女性のエンパワーメント、と多岐にわたっている。マスタークリニシャンへの研修会を含む数多くの研修会を米国内外で開催しており、心、体、感情、魂の統合された癒しと成長を目指した行動的マルチモダルアプローチの専門家としても知られている
大河内浩人[オオコウチヒロト]
広島大学大学院博士課程単位修得退学。広島大学総合科学部学生相談室、大阪心理療法センター、ウエストヴァージニア大学心理学部での臨床・研究活動を経て大阪教育大学教育学部准教授。博士(学術)。臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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