内容説明
肥満の問題は身体的であるとともに、きわめて「心理的」でもある。本書では、問題そのものを維持している認知プロセスを変化させる認知行動療法の技法を肥満の治療プログラムに取り入れ、治療の段階ごとに動機づけ・援助の方法を示した。まず減量達成にあたり「希望体重」「理想体重」「許容体重」といった体重目標区分の考え方、また、減量の先にある「本来の目標」を見極める重要性を解説し、その具体的な援助技法を詳説している。さらに「むちゃ食い」「ボディイメージの障害」といった肥満治療に重要なポイントとなる諸問題への対応にも紙幅を割いている。そして本書の最大の特徴は、「肥満治療成功は、至難の技」と言わしめる「リバウンドの問題」の心理的プロセスを明らかにし、その治療プログラムを詳述している点である。リバウンドへの本書のプログラムは、肥満治療の切り札となるだろう。本書は、肥満の患者や体重コントロールに問題を抱える患者の治療に携わっているすべての分野の専門家のために書かれた臨床ガイドである。
目次
第1章 イントロダクション
第2章 理論と治療についての概観
第3章 モジュール1:治療の開始
第4章 モジュール2:減量の確立と維持
第5章 モジュール3:減量を阻むものへの取り組み
第6章 モジュール4:身体活動の増強
第7章 モジュール5:ボディイメージへの心配に対する取り組み
第8章 モジュール6:目標体重への取り組み
第9章 モジュール7:本来の目標を扱うこと
第10章 モジュール8 健康的な食事の仕方
第11章 モジュール9:体重の維持
著者等紹介
クーパー,ザフラ[クーパー,ザフラ][Cooper,Zafra]
Dphil,DipClinPsych.オックスフォード大学精神科の主任研究心理士および名誉上級臨床講師である。心理学および哲学の双方の経験があり、こころの哲学(the philosophy of mind)を卒業テーマとして修了している。抑うつの持続に対する社会的因子の果たす役割について研究を行い、特にライフイベントに焦点を当ててきた。その研究対象は特に摂食障害と肥満の病態と治療である。摂食障害の病因、経過、それにアセスメント、さらには摂食障害や肥満に対する認知行動療法の開発と評価に取り組んできた。この領域における研究助成金の獲得や著書も出版している
フェアバーン,クリストファ・G.[フェアバーン,クリストファG.][Fairburn,Christopher G.]
DM,FRCPsych,FMedSci.Wellcome Trustの主任研究員およびオックスフォード大学精神科教授である。摂食障害と肥満の病態と治療についての研究を専門としている。研究領域は摂食障害の診断、疫学、病因、アセスメント、経過および治療など多方面に渡る。フェアバーン教授は心理療法の開発と評価に特に関心を持っている。英国および米国からの研究助成金を獲得してきており、この領域において非常に多くの著書がある。またスタンフォード大学行動科学先端研究センターでの2度にわたり評議員を務めている
ホーカー,デボラ・M.[ホーカー,デボラM.][Hawker,Deborah M.]
PhD,DClinPsy.オックスフォード大学精神医学教室の研究心理士ならびに名誉主任臨床心理士である。摂食障害および肥満の認知行動療法の評価研究に治療者として参加し、摂食障害ならびに悲嘆反応に関する異文化研究を遂行してきた。英国摂食障害治療国家慈善事業the United Kingdom national charity Anorexia and Bulimia Care執行委員会のメンバーである。主に抑うつ、不安障害、また慢性疲労症候群に関連した問題を取り扱うといった国際的な援助の仕事も専門としてきた。3編の著書の執筆者である
小牧元[コマキゲン]
国立精神・神経センター精神保健研究所心身医学研究部長。1978年鹿児島大学医学部卒業。天理よろづ相談所病院レジデント、九州大学心療内科入局、同大学医学博士取得後、米国チューレン大学医学部留学。九州大学医学部講師を経て、2000年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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