内容説明
火山学の世界的権威である著者が、火山活動のプロセスと火山学における最新のテーマについて、プレートテクトニクス理論に基づきわかりやすく解説。前半ではマグマの生成とテクトニクス、火山の組成や起源といった基礎に始まり、続いて火山体の構造、火山爆発のメカニズム、噴煙柱や火砕密度流による運搬堆積過程など、火山活動の素過程について躍動的な議論がなされる。また後半には、噴火予知、噴火が気候へ及ぼす影響、そして最後に火山の恩恵へと、より人類に身近かなテーマに沿った話題が展開される。美しいカラー写真とわかりやすい図版が400点掲載。
目次
序文
プレートテクトニクス
マグマ
マグマのダイナミクスと噴火の引きがね
大洋中央海嶺
海山と火山島
大陸プレート内火山
沈み込み帯の火山
火山体の構造とその構成物
ストロンボリ式、ハワイ式、プリニー式噴火とSt.Helens火山の1980年噴火
火砕流、岩塊火砕流サージ、そしてLaacher See火山の噴火
火と水と
火山災害、火山性加害因子、火山のリスク、そして防災
火山と気候
人間と火山:その恩恵
著者等紹介
シュミンケ,ハンス‐ウルリッヒ[シュミンケ,ハンスウルリッヒ][Schmincke,Hans‐Ulrich]
国際火山学地球内部科学協会の事務総長(1983‐1991年)、同協会の国際学術雑誌Bulletin of Volcanologyの編集長(1985‐1995年)、さらにはドイツのキール大学海洋科学センター(GEOMAR)の火山学部門教授(1990‐2003年)を務めた火山学のエキスパートである。受賞歴は多く、アメリカ地球物理学連合(AGU:American Geophysical Union)からボーウェン賞(1985年)を、国際火山学地球内部科学協会からソラリンソンメダル(1993年)と名誉会員の称号(2002年)を、そして、ドイツ学術協会(DFG)からドイツで最高の科学賞であるゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ賞(1991年)を贈呈された
隅田まり[スミタマリ]
日本大学大学院理工学研究科において「屈斜路カルデラと魔周カルデラの火山活動史の解明」をテーマに博士号取得(1990年)。学術振興会特別研究員として東京大学地震研究所に在籍(1991‐1992年)。その後、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団奨学研究員として渡独(1993年)。以来、キール大学海洋科学センター(IFM‐GEOMAR)にて契約研究員として在籍し、現在に至る。大学学部在学中より火山噴火とその素課程にかかわる研究課題に積極的に取り組み、三宅島1983年噴火、御岳1984年崩壊、大島1986年噴火、十勝岳1988‐1989年噴火、及び1991‐1992年にかけて発生した雲仙普賢岳噴火の調査にも参加した
西村裕一[ニシムラユウイチ]
北海道大学理学部及び同大学院理学研究科において火山物理学と地震学を学び、修士課程修了後から同大学理学部附属有珠火山観測所に勤務(1988‐2001年)。2002年より札幌に移り、北海道大学理学研究院附属地震火山研究観測センターに在籍して現在に至っている。有珠火山観測所時代は、十勝岳1988‐1989年噴火、1991年から雲仙普賢岳噴火、2000年有珠山噴火などに対し、主に火山性地震及び微動や火山性地殻変動をテーマに観測研究を続けた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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