感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
ユダヤ教の原罪神話は、農耕文化にすでに存在し、遊牧文化に組み込まれたものだろう。ある神話には、植物が聖なる存在者の肉体から芽を出そうとして殺したゆえに、人は食べることで3つの苦(死すべき身体、種を残すための性の分離、労働)を負うことになった、とある。農耕文化の供儀は現世の堕落と失われた楽園への回帰を、宇宙開闢からの聖なる時間を起源として伝える、と著者はいう。プラトンのイデアやブッダのカルマの時間性(一切皆苦)に言及する本書は、聖書の原罪、ブッダの悟り、ギリシャ哲学に遍在するシャーマニズム的な宇宙観を探る。2021/07/31