内容説明
経済外交とはなにか。脱植民地化と冷戦の力学が交錯する独立後のインドネシアに戦後の日本が経済進出を果たす過程を、政府と企業の相互作用の視点から捉えなおす意欲作。
目次
序章 バタヴィアとジャカルタの狭間
第1章 脱植民地化の胎動と近代日本
第2章 インドネシアにおける「冷戦」と「経済」
第3章 「経営の真空」と日尼国交正常化
第4章 経済協力と産官軍の遺産
第5章 日尼関係の深化と政権移行
終章 経済外交の構図と実態
著者等紹介
八代拓[ヤシロタク]
1982年生まれ。一橋大学大学院法学研究科博士課程修了、博士(法学)。現在、山口大学経済学部講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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省事
4
独立インドネシアに進出した日本企業が、二国間関係や国際政治にどのような影響を及ぼしたかを考察した歴史研究。戦前以来の人脈や、戦後賠償を利権化した賠償ロビーの問題はデヴィ夫人の存在と共に知られているところだろうが、本書は旧宗主国オランダなど植民地勢力を駆逐したものの、経済的ノウハウを欠くインドネシアに進出した日本企業の存在自体が、無軌道なスカルノのインドネシアへの対応に苦悩する米英に、仲介者としての日本の価値を再発見させたこと、また日本政府自身もそうした外交に取り組んだという指摘をしている点が興味深い。2023/04/07