内容説明
可視化される中東の「宗派問題」、中東「新冷戦」の潜在的構造。中東「新冷戦」と呼ばれる現状の原因を、人々は当たり前のようにシーア派・スンナ派間の「宗派対立」だとみなすが、本当だろうか?その文化決定論を疑い、根源にある歴史的・政治的要因や域内関係、国際関係の影響から、中東紛争の本質を解きほぐす。
目次
中東の「宗派」を巡る問題の視座
第1部 「宗派問題」を取り巻く前提状況―定義上の問題、国際政治、情報技術革新(宗派アイデンティティを脱神秘化する―「宗派主義」と中東研究;シーア派/スンナ派政治における(宗派間/宗派内)ダイアローグ―宗派主義化した新たな中東で、古典的アラブ冷戦を歴史的類推に用いること(の限界)について
中東のツイッター界にみる宗派的中傷の分布
宗派問題のメディア的基層―画期としての衛星放送時代)
第2部 事例研究―シリア、イラク、アラビア半島諸国、イラン、トルコにおける「宗派」問題(シリア紛争の「宗派化」―ヒズブッラーの軍事介入の論理と実践;宗派主義の拡大と後退の条件―イラク世論調査にみる政党支持構造分析から;湾岸諸国と宗派;イエメンの内戦と宗派;上からの宗派主義化への抵抗―シーア派宗教国家下におけるクルド系国民とサラフィー主義;トルコにおける宗派主義的傾向―公正発展党政権期の社会的分裂の観点から)
著者等紹介
酒井啓子[サカイケイコ]
1959年生まれ。1982年東京大学教養学部卒業。1991年英ダーラム大学修士。現在、千葉大学大学院社会科学研究院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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