内容説明
ソクラテスが従ったのは「理性」か、「神霊の声」か?ソクラテスは本当に「理性の人」だったのか?彼が語る「神霊の声」とは何だったのか?さまざまな文献をもとに「ダイモニオン伝説」が形成されていく過程を追い、ソクラテス哲学の謎に新しい光をあてる。
目次
序章 ガラクシドロスの問い
第1章 奇人ソクラテス―「ソクラテスの訴状」、アリストパネス『雲』の考察
第2章 プラトンの報告―『ソクラテスの弁明』および諸対話篇の考察
第3章 ダイモーン伝説
第4章 クセノポンの報告―『ソクラテスの想い出』『ソクラテスの弁明』からの考察
第5章 ダイモニオン伝説の誕生―擬ソクラテス書、キケロ『占いについて』の考察
第6章 プルタルコスの回答―『ソクラテスのダイモニオンについて』の考察
第7章 プルタルコスのもうひとつの回答―悪しきダイモーン論
終章 神霊に憑かれた哲学者ソクラテス
補論 ソクラテスのダイモニオンと理性(ロゴス)
著者等紹介
田中龍山[タナカリュウザン]
龍谷大学文学部准教授。1964年京都市生まれ。1993年龍谷大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。2004年博士(文学)。2012年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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μέλισσα
1
ソクラテスの対話の中で時折語られるダイモニオンの存在、これは、理性の人ソクラテスという一般的な像とは相反するのではないか、という問いを起点に、ダイモーンについての古代の言説をまとめ、ソクラテスがそれによって訴えられた「ダイモニオンの新奇性」を起点に理性と神霊を共存させた「神霊に憑かれた哲学者」としての姿を映し出す力作。 私はこういう、文献を地味に追い続け、粘り腰で向き合い続けるという態度が非常に苦手なので、結論とはまた別に、尊敬し模倣すべき範型なのであろう。2025/04/26
翰林菩薩
0
ソクラテス研究では欠かせない「ダイモニオン」についての古代文献のまとめと考察。「ロゴスとダイモニオンは対立するのではないか」という問いをプルタルコスの「ソクラテスのダイモニオンについて」に出てくる登場人物の名をとって、「ガラクシドロス問題」と称し、議論の補助線にしている。2023/01/03
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