内容説明
米国による戦後日本の象徴天皇制政策の形成過程を詳細に検討した類書のない労作。戦後日本の象徴天皇制の制度設計者は米国である。本書は、米国が戦時中、対日戦後計画の中で最大の難問といえる天皇問題について本格的に検討を開始した1943年から、日本の天皇制存置を決定した1946年までを、主として一次資料を用いて詳細に分析・検討したものである。
目次
第1部 米国国務省と日本の天皇制―戦時中の米国国務省の検討(国務省特別調査部(政治調査部)の調査・研究と領土小委員会の検討
国務省部局間極東地域委員会の検討
国務省戦後計画委員会の検討―PWC一一六シリーズ文書の検討)
第2部 ポツダム宣言の形成と発出(グルーの提案;スチムソン原案;トルーマンの日本打倒計画;ポツダム宣言米国案の形成;ポツダム宣言米国案の英国修正;ポツダム宣言の発出)
第3部 ポツダム宣言の日本の受諾と米国の占領統治(日本の受諾;占領統治と天皇制)
著者等紹介
藤田宏郎[フジタヒロオ]
甲南大学名誉教授。1940年生まれ。1967年一橋大学大学院法学研究科修士課程修了。専攻:国際政治学、外交史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
17
戦時中、米国内で日本の天皇および天皇制について激しい論争がなされ、廃止論が大勢であったが、終戦後、米国は占領統治上の天皇制の有用性などから、戦後日本の政体として共和制を理想としながらも、象徴天皇制の制度設計に取り組んだ。本書は戦時から戦後にかけての米国国務省をはじめとする関連の一次史料を用いて、天皇制に関する米国の政策形成過程を詳細に分析している。米国政府首脳部の関係者の間で、どのような議論が展開されていたのかを詳らかにしている点が本書の一番の特徴。英国の考えも一次史料を元に分析している。2018/10/30
-
- 電子書籍
- 福島原発 現場監督の遺言