内容説明
本書は、カントによって創始された超越論的自我論とは何であるか、また、それがフィヒテの「知識学」によっていかに受け継がれ展開されたかを解明し、併せて、現代のアングロアメリカン哲学の一大潮流である「心の哲学」の論者たちによって、その超越論的自我論がどのように受けとめられ展開されたかを明らかにし、最後に、そうした超越論的自我論が、「自己意識論のハイデルベルク学派」の領袖であるヘンリッヒの「主観性の哲学」とどのように関連するかをいくらか見届けることを目論んで、著者が綴ってきた諸論文の集成である。
目次
第1部 カントとフィヒテ(超越論的自己認識としての超越論的自我論―カント超越論的哲学の基礎に関する一考察;自我論におけるフィヒテとカント―イェーナ期フィヒテ哲学を中心として;「集中点」としての自我―「絶対知」の知識学の自我論に関する一考察)
第2部 心の哲学(自己知の根源性について―シューメイカーの心の哲学と超越論的自我論との接触;直接帰属と自己意識―チザムの自己意識論への一視角;超越論的自我論への途上にて―カスタニェーダの場合)
第3部 ヘンリッヒ(自己意識とその「根拠」との間にて―ヘンリッヒ哲学に関する覚書)
著者等紹介
湯浅正彦[ユアサマサヒコ]
1956年千葉県に生まれる。1985年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。2005年東京大学博士(文学)取得。現在、立正大学文学部及び大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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