内容説明
本書は、最初に民主主義の言葉そのものが生まれたギリシャ民主主義の発生の過程をたどり、衆愚政治とは区別された民主主義とそれを支えるエートスを探ると同時に民主主義に本来内在する矛盾を指摘する。次に近代民主主義思想の成立の前提としての近代思想の成立を、ヨーロッパ中世の封建的イデオロギーからの解放過程、つまりキリスト教神学とローマ教会との闘いを通じて人間理性が勝利してゆく過程のなかに見る。さらに17‐18世紀のブルジョア革命期に成立する諸思想を、平等主義・革命的民主主義と自由主義の2系列の国家論に分類し、それぞれの意義と両者の対立関係を検証する。19世紀、労働者階級の台頭とともに2系列の国家論のうち前者がさまざまな社会主義思想に流入し、後者が自由主義的民主主義として再編・形成されてゆく軌跡を追い、現代の自由主義的民主主義の本質を考察する。
目次
政治思想の役割
アテナイ民主政
ルネサンスと宗教改革
ニコロ・マキャヴェリ
トーマス・モア
ジャン・ボダン
イギリス革命と人民の諸運動
トーマス・ホッブズ
ジョン・ロック
フランス大革命と啓蒙思想〔ほか〕