感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hakootoko
5
短い講演を集めた本だけど、『純粋理性批判』、『実践理性批判』を書いた動機が全体を通して見えてくる。第一章で、『純理』を書き上げていくなかで遂げられるカントの変身が描かれる。まるで、いまは何時とふと思いあるいは見知らぬ道行く人に尋ねられ、瀟洒な装飾が施された懐中時計の蓋が開けられたような変身だった。それ以降の章は出版されなかった資料をもとに文献学的にカントを読んでいく。マニアックな印象だが、ラジオ放送がもとなので読めた。『カントを読む』で「完全誤謬の不可能性のテーゼ」を説明する際に紹介されていたので読んだ。2020/11/01