内容説明
自宅の床下からローマ時代のモザイク装飾の風呂場が発掘されたことから、平凡なサラリーマン、イヴァンの生活はめちゃくちゃにされる。名声や金儲けを目論む学者、古美術商、不動産屋、レスキュー隊員、地区のお偉いさん等のエゴイズムに、イヴァンは翻弄されるが…。特異な場面設定で身辺どこにでもある問題を提示するストラチエフの痛快な筆致で描く表題作はじめ、笑いと皮肉の中で官僚の高慢さや惰性を批判する『スエードのジャケット』、走るバスの中を舞台に乗客たちのとぼけた台詞の中から、各人の人間性が浮かび上がり、またそこから当時のブルガリアの社会事情も窺われる『バス』の三編を収録。