出版社内容情報
現代社会に生きる我々にとって、等速的かつ不可逆的でただひたすら未来へ向かって進むのみの時間は、社会的な構造物でありながら、あたかも日々の営みの外にある客体的な存在としてある種の歪みをもってとらえられている。時計とカレンダーに具現化された時間というイメージへの従属は、近代社会のなかでどのように培われてきたのか?本書では、現代社会の様々な断面を切り取って、そこから、無自覚なまま時間の虜囚となった現代人の新たな側面を焙り出す。
目次
第1章 近代社会における質的な時間体験
第2章 司馬遼太郎ブームとビジネス教養主義―ポスト高度成長期における「歴史」と「誤読」
第3章 集合的アイデンティティの経時的変化―ASEAN諸国のサッカー代表選考の動向から
第4章 フォレンジックスの複数の時間―エヤル・ヴァイツマン『フォレンジック・アーキテクチャ』の時間論的読解
第5章 泥酔者たちの時間―東京人の余暇とアルコールの歴史
第6章 「懐かしさ」の時間学―戦後引揚者による語りから