内容説明
『われは海の子』『水師営の会見』『桜井のわかれ』『村の鍛冶屋』…終戦後、GHQに“忖度”した日本の官僚らによって封印されてしまった多くの唱歌や童謡たち。100年をへても色褪せることのない、日本人の胸に響く名曲を紹介、わかりやすく解説。
目次
第1章 戦争に翻弄された歌
第2章 教科書からの削除と改変
第3章 生き残った名曲の秘密
第4章 台湾人の心に響いた唱歌
第5章 闇に葬られた満州・朝鮮の歌
第6章 100年先まで歌い継ぎたい
著者等紹介
喜多由浩[キタヨシヒロ]
昭和35年大阪府出身、立命館大学卒。59年産経新聞社に入り、社会部次長、月刊「正論」編集部次長、文化部編集委員などを経て、現在、産経新聞編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tamami
44
音楽にはあまり縁のない存在であったが、何故か唱歌だけは好きで文庫の「日本唱歌集」等にも親しんでいた。その中の「われは海の子」など、一部の唱歌の戦前と戦後の消長についての知識もあったが、それを遥かに超える数の唱歌が改変されたり、教科書から消えてしまったことを今回初めて知る。原因は、GHQによる教科書スミ塗り指令が発端であるが、戦争に関わりない唱歌の中にも消されたものも少なくないという。また、唱歌は国内に止まらず、満州や朝鮮、台湾でも歌われ、彼の地の情景を謳った唱歌も少なからず作られていたという。戦後70年→2021/10/31
めっかち
4
『仰げば尊し』から『海行かば』まで──ある曲は戦争で、またある曲は占領で消された……。その中には復活した曲もあるが、未だに「封印」されたままの曲もある。本書、新聞連載の書籍化だから非常に読みやすい。いい曲であればあるほど、時には戦争に利用される。しかし、曲に罪はない。危うさを孕んでいるかもしれないが、だからと言って消し去ったままにしておくのが「正しい」のか? 本書で紹介されている唱歌の多くには、すべからく生き残り歌い継がれてほしい。今こそ、消された歌の封印を解く秋だ!2022/12/05