出版社内容情報
小川哲郎[オガワテツロウ]
著・文・その他
内容説明
昭和二十年一月、マニラをめざして南下する米軍の前に立ちはだかる標高わずか二〇メートルのカバルアン丘―二週間にわたって米軍の進出をくい止めた千名たらずの大盛支隊の壮絶な死闘を描く。上層部の無策な命令によって孤立無援となりながら、敵をも驚嘆させる抵抗を見せた無名兵士たちの戦いを綴る陸戦記。
目次
第1章 旭兵団(輸送時の大損害;任務の変更 ほか)
第2章 カバルアン丘(戦闘準備;戦闘はじまる ほか)
第3章 国道3号線―マニラ街道(横田、岩重小隊全滅;落合隊脱出 ほか)
第4章 死闘(中隊長戦死;ある小隊の蒸発 ほか)
第5章 極限、脱出と挫折(松村軍曹脱出;大盛支隊長の訣別電報 ほか)
著者等紹介
小川哲郎[オガワテツロウ]
大正元年、和歌山県串本町潮岬に生まれる。昭和10年、京都大学文学部英文学専攻卒業、教職につく。昭和18年、陸軍文官(教育要員)としてフィリピンに派遣される(第14方面軍司令部付陸軍司政官)。昭和21年、復員。昭和46年、和歌山県立田辺商業高等学校長を退任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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好古
2
【感想】ルソン島で米軍を足止めする為に持久戦を命じられた大盛支隊のドキュメンタリー。工兵中隊200名の命運が21歳の中尉の決断に左右される。900名の命を預かる大盛大尉などは24,5歳だったという。「日本軍は勝つことよりも死ぬことに専念しているようにすら感じられた」と戦後米軍将校が述懐した通り大盛大尉や落合中尉を常に悩ませていたのは日本軍特有の名目や建前に執着する体質であったし、そうした一種の絶望と恐怖によって支配された軍隊は本来発揮し得たはずの力をみすみす何の実益もない建前の為に無為に浪費する事になる。2025/01/08