内容説明
昭和二十年七月十五日、「神風」は小型タンカー四隻を護衛して、マレー半島ぞいを北上した。翌十六日午後一時すぎ、米潜水艦ホークビルとの、海の上と下での死闘が延々十数時間にわたっておこなわれたが、これがのちに米映画『深く静かに潜航せよ』に再現された。表題作の他4編収載。生か死か、二者択一の死闘の海で繰りひろげられる名もなき兵士たちの人間ドラマ。
目次
憤怒をこめて絶望の海を渡れ(宮川正)
愛しの「雪風」わが忘れざる駆逐艦(田口康生)
地獄の海に記された「夕雲」奇蹟の生還記(及川幸介)
ソロモン特急「早潮」ダンピールに死す(岡本辰蔵)
駆逐艦「神風」電探戦記(雨ノ宮洋之介)
感想・レビュー
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スー
19
39駆逐艦 響は機関兵曹、雪風は砲術長、夕雲は汽缶長、早潮は掌砲長、神風は電探長の体験談。雪風は幸運艦として有名な駆逐艦ですが響と神風も生き残った幸運艦で夕雲と早潮は撃沈された駆逐艦です。神風は映画深く静かに潜航せよの元ネタになったので楽しみにしてましたが対潜戦闘はアッサリでやはり本職のレーダーの話が中心で少しがっかりでした。夕雲は沈没してから漂流した体験談で米軍の放棄したボートを偶然発見して無事に自軍の島に辿り着いたという奇跡の話でした。船の上での戦いでは綺麗な遺体は無く負傷はほぼ重症で酷かったです。2021/03/13