内容説明
真珠湾、インド洋、ミッドウェー海戦、南太平洋海戦等いくたの艦隊決戦に臨み、つねに空母の露天艦橋にあって、南雲、小沢長官の命令を伝達する責務を負って奮闘した司令部付信号員が綴った迫真の戦闘航海日録。黒煙、火炎渦巻く海戦の艦上で古参下士官が見たものは何か―戦闘下の司令部の実情を伝える話題作。
目次
第1章 海軍志願兵募集
第2章 司令部付信号員
第3章 パールハーバー奇襲
第4章 インド洋の波涛
第5章 炎のミッドウェー
第6章 旗艦「翔鶴」の航跡
第7章 懐かしき故郷の山河
第8章 機雷掃海余話
著者等紹介
橋本廣[ハシモトヒロシ]
大正7年9月、茨城県に生まれる。昭和10年6月、横須賀海兵団に入団。普通科・高等科信号術練習生卒。空母「加賀」「赤城」「蒼龍」乗り組みをへて16年4月、新たに第1航空艦隊編成、同司令部付として「赤城」に乗艦。真珠湾攻撃、インド洋作戦、ミッドウェー海戦に参加。17年7月、第3艦隊司令部付として「翔鶴」乗り組み、ソロモン、南太平洋に歴戦する。18年11月、土浦海軍航空隊付被命。20年6月、横須賀防備隊に入隊、第三曳船乗り組みとなり、終戦を迎える。同年10月、第202駆潜特務艇乗り組み、掃海作業に従事。21年2月、解員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
3
著者は一兵卒出の叩き上げでありながら、長年にわたり機動部隊の首脳部と行動を共にしたユニークな経歴を持つ。有名どころの司令官や参謀らに対する、主観的だが活き活きとした寸描。後方で安逸を貪る(ように見えた)山本五十六ら連合艦隊司令部への評価は恐ろしく辛口だが、それが前線勤務者の偽らざる感情だったのかもしれない。信号員は司令部の事務全般も司っていたようで、旗艦変更に伴う引越し作業や書類整理など、他の戦記にはあまり出てこない細部が興味深い。軍隊の持つお役所的な性格が垣間見える。2022/07/12