内容説明
戦後、侵略主義の別名として否定された「アジア主義」。しかしそこには本来、「アジアの連帯」や「近代の超克」といった思想が込められていたはずだ。アジア主義はどこで変節したのか。気鋭の論客が、宮崎滔天、岡倉天心、西田幾多郎、鈴木大拙、柳宗悦、竹内好らを通して、「思想としてのアジア主義」の可能性を掬い出そうと試みた大著。
目次
なぜ今、アジア主義なのか
竹内好はアジア主義に何を見たのか
西郷隆盛と征韓論
なぜ自由民権運動から右翼の源流・玄洋社が生まれたのか
金玉均という存在
頭山満、動き出す
来島恒喜のテロと樽井藤吉の『大東合邦論』
天佑侠と日清戦争
閔妃暗殺
孫文の登場―宮崎滔天・内田良平・南方熊楠
岡倉天心「アジアは一つ」の真意
黒龍会と一進会
韓国併合という悲劇
中国ナショナリズムへのまなざし―辛亥革命と二十一カ条要求
孫文の大アジア主義演説
来日アジア人の期待と失望
大川周明の理想
田中智学から石原莞爾へ―「八紘一宇」の奈落
アジア主義の辺境―ユダヤ、エチオピア、タタール
戦闘の只中で―日中戦争と大東亜戦争
未完のアジア主義―いまアジア主義者として生きること
著者等紹介
中島岳志[ナカジマタケシ]
1975年大阪府生まれ。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。大阪外国語大学(ヒンディー語専攻)卒業。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。京大人文科学研究所研修員、日本学術振興会特別研究員、北海道大学大学院法学研究科准教授を経て、現職。専門は南アジア地域研究、近代思想史。著書に『中村屋のボース』(大佛次郎論壇賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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