内容説明
「死ぬまで帰れない」と諦念を抱いた外地、はるかに強力な敵が押し寄せた本土の空、それでも誇りと気概を失わず、敢然と矢面に立った海軍戦闘機搭乗員たち―その意気と覚悟にみちた空戦ドラマ。
目次
忘れ得ぬ胴体着陸二回―力量発揮の戦中と戦後
丙飛の零戦ここにあり―ひたすら飛んで闘った
隻腕操縦員―失った片手に代わるもの
特攻隊、海軍にただ一つ―B‐24撃墜をめざす爆装零戦
獅子は吼えたのか―フィリピンでの苦戦を追って
「J改」指揮官の個性―傑出した三人の足跡を見る
わが愛機は零戦、「雷電」「紫電改」―どの機に乗っても確実撃墜
出撃した予備士官たち―“殺人機”を駆って敵襲の空へ
バリク邀撃、モロタイ夜襲―斜め銃と爆弾を武器に
主戦場は夜の沖縄―特攻よりも夜襲の反復
著者等紹介
渡辺洋二[ワタナベヨウジ]
昭和25年(1950年)、名古屋に生まれる。立教大学文学部卒業後、航空雑誌の編集勤務。53年、第2次大戦の軍航空に関する執筆に専念。平成22年(2010年)、職業としての軍航空の著述を終了。以後、余暇を航空史研究にあてる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roatsu
17
渡辺洋二氏の著作は入念な取材と豊富で正確な知識に基づき、主人公となる将兵の方々が体験した絶後の空戦体験を判明しうる限りにおいて往時のまま鮮やかに蘇らせる。既出作品も含まれるが、在りし日の海軍航空隊の戦いと命懸けで戦った先人達の実像と思いを知る上で重要なエピソードが収録された必読書。空対空特攻金鵄隊の悲劇は比島決戦の折、栗田艦隊の決戦成功のため確実に米機動部隊の空母離発着機能を潰す非常手段として取られた特攻が想像以上の威力を発揮し、これを受けた一航艦首脳を始めとする現地指揮層がなし崩し的に常態化させてゆく2018/08/21
黒瀬
7
著者の渡辺さんの取材量と膨大な知識にはいつも驚かされます。本著は海軍の実用戦闘機を操縦員がどのように乗りこなし、敗戦のその瞬間まで戦ったかを描く短編集。冒頭の本田稔さんをはじめとした著名なパイロットたちとその愛機にまつわるエピソードは短いながらも要点が纏められていて面白い。芙蓉部隊や菅野直さんの話はそれぞれ詳しく記述されている文庫本があるので、興味を持ったら参考にされたし。そういえば168Pのくつろいでいる菅野大尉の写真って初めて見たかも2019/02/12
む
3
収録10編のうち、文春文庫などで読んだことがあったものが8編。未読の2編は2017年の「航空ファン」に載っていたものだそう。海軍戦闘機に絞ってはいるが、零戦から月光まで各機種を扱っている。2017年の新しい2編の日本語が酷く読みづらく感じたけれど、これから改訂していくんだろうか。2019/06/25
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