内容説明
「自分とは何か」から「宇宙の終わり」まで、哲学の最重要問題を一気読み。イェール×オックスフォード卒の異才教授が渾身の力で解きほぐした、史上最強の哲学書! 権利/罰/復讐/真実/無限……「最もシンプルでわかりやすい言葉」で、哲学がするする頭に入る前代未聞の哲学書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
85
「子どもはみんなー例外なくー哲学者なのだ。」2人の男の子レックスとハンクとのかわいくて鋭い会話を紹介しながら、「権利・復讐・罰・権威・言葉・男女・差別・知識・真実・心・無限・神」をテーマにわかりやすく論じている。著者が父親に哲学の道に入ることを伝えたが、哲学とは何かうまく伝えられなかった。レックスは小学2年生で数学の哲学者になりたいと望み、哲学って何?と聞いた。レックスはほんの一瞬考えて「哲学は考える技術だ」と言った。著者は早速父親に報告したが、父親はそんなこと覚えてなかった。子供のいる父親におすすめ。2025/02/01
たま
60
邦題はひどいが中身はとても面白かった。原題は『意地悪で粗野で短い:子どもたちと哲学で冒険』。小さな子どもが毎日ぶつかる切実な問題-権利、復讐、罰…などを法哲学者の親が一緒に考え(「考える技術」を身につけてもらい)また議論を大人の関心事へと発展させる。子どもの日常から哲学の命題への接地がなだらかで実に巧み。法哲学系の「道徳」だけでなく、「自分」や「世界」へと繋がり、ジェンダーや差別、シミュレーション仮説や意識のハードプロブレムなども論じている。知的刺激たっぷりで面白かった。2024/04/01
踊る猫
32
この豪華さはどうだろう。いや、さすがにここまで網羅するだけあって結果的には「広く浅く」「薄口」になってしまっているんだけど、それでも「神の存在証明」「ハードプロブレム」から「ジェンダー」「真実」といった問題まで、さまざまな哲学的イシューを著者が自身の子どもと接した体験を踏まえつつ(つまり地に足の着いたかたちで)説いていく。実に平易で親しみやすい語り口にうなり、自分自身もここから関心のある問題についてさらっていきたくなる欲をたしかに感じる。久々に純粋な「哲学分」を満喫した、というか。やや男臭いのが玉にキズか2023/12/25
出世八五郎
22
読み始め、ネガティブで神経質な自己防衛の強い人間はこのような考え方をしているなと思った。同時に仏教でもこのような細かい考え方している。哲学というものは捕らえ難く分かり辛い。それは考え方、思考方法なのだろうか?本書からはそのように思わせられる。このような方法で10以上のテーマに渡り哲学されている。「相対主義ではジェノサイドを悪とは言えない。」と著者は言うが、それも願望であり、やはり相対主義が正しいんじゃないかと思う。著者の願望も認める。釈迦は【すべきこと】より【してはいけないこと】を戒律にした。2024/08/18
まさにい
22
高坂正堯と高坂正顕親子の会話もこの本のように行われたのだろうか。正堯は、高校の頃まで、散歩でよく父から話を聞いたと書いていた。この本の著者の息子の将来が面白く思われる。多分多くの大人は、子供の哲学的な、もしくは『なぜ』の波状攻撃に真剣に対応してはくれない。それは何故か。忙しいという答えもあるが、多分、正解を言おうとしているからだと思う。つまり、正解が言えないからなおざりにするのである。しかし、正解はいらないのだ!ともに考えることが重要なのだとこの本は言っていると思う。いい本でした。2024/07/27