内容説明
五人の思考と行動とは。日米開戦は阻止できなかったのか。海軍の苦難の時代を担当した最高責任者に誤りはなかったのか。
目次
序章 五人の人間像(永野修身;米内光政;吉田善吾;及川古志郎;嶋田繁太郎)
第1章 永野修身(二・二六事件;満州事変;永野の登;軍部大臣現役訓;日独防衛協定;永野人事か)
第2章 米内光政(盧溝橋の銃声;上海事変―日華事変;オレンジ計画;三国同盟問題)
第3章 吉田善吾(米内内閣への期待;アメリカの対日不信;近衛公に大命降下)
第4章 及川古志郎(日独伊三国同盟締結へ;暗号解読さる;日米交渉;日蘭交渉;第一委員会;日ソ中立条約締結;野村―ハル会談;独ソ開戦;など波風たちさわぐらむ;日米交渉の完敗;総理に一任)
第5章 嶋田繁太郎(白紙還元;「十二月初頭開戦」を決意;ハル・ノート;ニイタカヤマノボレ一ニ〇八)
著者等紹介
吉田俊雄[ヨシダトシオ]
明治42年、佐世保に生まれる。昭和2年、海軍兵学校に入学、第59期。海大選科学生。蘭領東印度出張。米内光政、嶋田繁太郎、永野修身らの副官をつとめる。日米開戦前より軍令部第三部勤務、昭和18年より軍令部員・大本営海軍参謀。終戦時は中佐。平成18年12月、没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
13
元海軍中佐の吉田俊雄による、五人の海軍大臣を通じてみた「あの戦争」への道。吉田は著作も多く、筆の運びもこなれていてさすがに読みやすい。彼自身、本書に出てくるかいぐん大臣の副官を勤めた経験もある。ただし、本人があとがきで書いているように、これはあくまで「海軍の側から、海軍の目で追った」昭和史であり、その点は注意が必要。また、多くの参考文献を使っているが、どこからが吉田本人の経験でどこからが文献を参考にしたものかがわかりにくい。どうせなら、吉田自身の経験をはっきりそれとわかるように書いたほうがいいと思う。2023/07/31
もちもち
4
海軍軍人というのは寡黙であるのを良しとする。 しかし、口の上手な陸軍軍人にいいように丸め込まれて開戦に向かう流れになってしまった… 幹部である以上は政治にも関わり、詳しくある必要があったということかな2021/11/02
Eiji Nanba
0
旧日本海軍には軍政と軍令の区別は陸軍ほど明確ではなく、それ故大臣の意向は軍令部にもかなりの影響力をもつこともあった。太平洋戦争に入る前の海軍大臣たちの姿を、丁寧に見とった労作。面白く読みました。2019/04/23