内容説明
人類の歴史は闘争の歴史である―その英知は戦術のなかに結晶していて、また戦術は、戦いに勝つための示唆に満ちている。指揮官の役割、戦闘力、状況判断、情報、兵站―軍隊を運用し勝利を獲得するために必要な基礎を理解することは、平時の企業経営にも、通じるのである。「戦術学」を生かすためのガイドブック。
目次
序章 「戦術学」へのアプローチ(「戦術学」とは何か;戦術とマネジメント)
第1章 戦術理論の系譜(ジョミニ著「戦争概論」;高野長英訳『三兵答古知幾』 ほか)
第2章 戦術の基盤(指揮官の役割;戦闘力―勝敗を決定する力 ほか)
第3章 戦場の光景(残置部隊;夜間戦闘 ほか)
第4章 戦いの原則(戦いの原則とは何か;戦いの九原則)
著者等紹介
木元寛明[キモトヒロアキ]
1945年、広島県に生まれる。1968年、防衛大学校(第12期)卒業後、陸上自衛隊で戦車大隊長、戦車連隊長、主任研究開発官等を歴任し、2000年に退官。退官後、セコム(株)研修部で幹部社員の研修を担当。2008年以降、軍事史研究に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
32
戦術の研究、会得を自らの生きるテーマに選んだ元自衛官が説明する「戦術」の入門編。著者は自衛官としての長いキャリアの多くを、実際に行動する自衛隊の指揮官、幕僚として部隊を本当に活動させるための「戦術」を自衛隊に根付かせるかを考え続けたと思われる。ドクトリンなき改編を続ける陸上自衛隊へは痛烈な批判ともなり得るが、「戦う」ための基本原則は個人でも国家でも会社組織でも単純にして共通かもしれない。経営上でも必須事項。カバーの北清事変時の各国兵が並んだ写真の中で日本が本当に世界の規範足らんとした初々しさが印象的。2019/04/22
kannkyo
6
元陸将補の自衛官幹部OBによる戦術学の入門書であり、防衛省・自衛隊への痛烈な評論でもある。古今東西の数十冊の文献と自らの経験に基づき、戦術学の基礎と持論を展開する。とりわけ、世界最強の米国陸軍の最新のドクトリンを紹介している箇所は必見である。2019/02/28
Z
6
著者は本書の目的として、体系的な戦略の本がないため、ちゃんと整理してないが今までのスクラップをまとめて、書いてみたというようなことを書いているが、著者がいうほど散漫でなくきちんとまとまっていて、さらに2016年刊でドローンなども触れており驚いた。実際の戦争、戦闘はおそらくすることがないので、プラグマティックには読めないが、過去の戦争、第二次世界対戦や戦国時代の戰の分析もあり歴史の勉強になり、プラグマティックに読むならば、組織の構築、任務の役割や情報処理の仕方、プロセスの解説、分析はためになった。2017/03/11
N.K
5
筆者が冒頭で発言しているが、別に戦術の虎の巻という訳ではない。戦術の歴史と実際の戦場の例を挙げながら、著者の解説を書いている。 刻一刻と変化している戦術理論の世界で、必勝の法則は存在しない。基本をしっかり押さえて、失敗から敗因を徹底的に学び、臨機応変に実践するのが重要らしい。正直、これを実際にやるのは日本人には難しそうだなーと思う。 戦術の考え方は企業の経営戦略に似たところもあるので、勤め人なら読んでみるのもいいかもしれない。あまり量が無いからサクッと読めるし。2016/05/28
Z
3
一回目と同じ2017/03/10