内容説明
太平洋戦争末期、郷里岩手での五日間の休暇中に結婚させられた海軍パイロット。夫の出撃決定を知って、遙か鹿児島の特攻基地へと向かった新妻の悲壮な決断とは。表題作ほか故国を遠く離れたフィリピン、中国大陸で戦争に翻弄された男女の運命を鮮烈なイメージで描いた二篇を収載。名映画監督・脚本家の処女小説。
著者等紹介
松山善三[マツヤマゼンゾウ]
1925(大正14)年、神戸市生まれ。岩手医学専門学校中退。48年、松竹入社、助監督となる。脚本家デビューが先で、オリジナル第一作は54年「美わしき歳月」(小林正樹監督)。監督デビューは61年、脚本作品は映画・テレビ・舞台と1000本に近い。妻は女優の故・高峰秀子、養女は文筆家・斎藤明美。映画賞は毎日映画コンクール脚本賞、ブルー・リボン脚本賞など多数。勲四等旭日小綬章受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
28
反戦色の強めの戦争小説3編。残酷な描写が多く出てくるし人間の醜さも良く書けていると思います。戦争は勝ち負けに関係なく誰も幸せになれませんね。表題作『辺にこそ死なめ』は、美しい夫婦愛が良かったです。2016/05/03
tecchan
2
映画監督、脚本家として著名な 故 松山善三 氏のはじめての小説。敗戦間近な特攻隊、フィリピン、そして敗戦後の満洲を舞台にした短編戦争小説集。兵士だけでなく、女性、家族、民間人など登場人物が否応なく巻き込まれる戦争。 悲惨な舞台に、家族の絆、夫婦の絆、人間愛が描かれる。2018/06/14