内容説明
沖縄戦の実情と県民のひたむきな姿勢をつぶさに見て、沖縄方面根拠地隊司令・大田中将が自決直前に認めた感謝の電文「沖縄県民斯ク戦ヘリ、県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ…」今も沖縄の人々の心に残る温情の海軍提督の豊かな人間性と彼が培った家族の歩みを描き戦いの空しさを謳う感動の話題作。
目次
落合海将補
白南風の家
岩尾の身
白い挙手
民の子にて候
武人とその妻
戦雲暗く
家の中の海軍
文武二道
川原石の家
幻の二連特
八連特司令官
八連特戦記
ムンダの苦闘
コロンバンガラで
海軍歩兵少将
大ナル過失
沖根司令官
秋水ヲ払ヒテ
沖縄戦
前線へ送る夕
小禄の死闘
沖縄県民斯ク戦ヘリ
大田中将の死
必死モングリ
とん
火番森に塔を
それぞれの沖縄
大田中将の遺産
著者等紹介
田村洋三[タムラヨウゾウ]
1931年、大阪府吹田市生まれ。同志社大学文学部卒。読売新聞大阪本社社会部次長、写真部長、社会部長、編集局次長、編集委員を歴任。1993年、定年退職。現在、ノンフィクション作家。編著書に『新聞記者が語りつぐ戦争』(全30巻、読売新聞社など刊、85年、第33回菊池寛賞受賞)、『ざわわざわわの沖縄戦―サトウキビ畑の慟哭』(光人社、2006年度平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
17
なかなか考えさせられる一冊でした。大田中将をメインに家族・沖縄のことが書かれています。大田中将は信念と慈愛をもった人だなあと感じました。家族に関しても戦後の苦労が真に迫っており、身に沁みるように思えました。著者の他の本も読んでみたくなりました。2021/03/25
月式
7
「…沖縄県民斯く闘えり 県民に対し後世特別の御高配を賜らんことを」沖縄戦についてあまり詳しく無い自分でも聞き覚えのある一つの電文。死中に在りながら、この名文(全文読むと更に素晴らしい)を残した帝国海軍中将大田實の生涯とその家族の物語。楠木正成を敬愛し、五輪書を愛読書とする正に尽忠報国の武人であるが、四男七女の子供らに注がれた愛情の細やかさに胸を打たれる…。大田中将の遺骨を収集したのが、佐野眞一の沖縄本に出てきた、沖縄最強の空手家宮城嗣吉だったのは驚きました。2013/06/14
大泉宗一郎
6
「沖縄県民かく戦えり。県民に対し後世特別の御高配を賜らんことを」沖縄戦の最中、県民の献身と犠牲を労う電報を打ち、今なお県民から敬愛される大田中将。かの電報を打たせた彼の人柄と生涯とはどのようなものだったのかを、遺族への取材と丹念な調査を基に活写した力作。部下や沖縄県民への心配りなど、膨大な取材量と筆者の熱量によってあの電報に中将の大らかな人格が結実していたことがわかる。ひとりの軍人の公私を神格化せず、なお敬意抑えられない筆と熱量には圧倒される。太田中将の書籍としては本書が決定版と言って良いだろう。良書。2024/04/13
Ra
4
かの有名な電文「沖縄県民斯ク戦エリ。県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」を送った海軍少将(のち中将)とその家族のノンフィクション。本書は、その三男・落合畯氏が自衛隊初の海外任務であるペルシャ湾掃海作戦に指揮官として携わり、仁愛の深さは父親譲りということから始まる。『沖縄の島守』の著者でもある田村氏の畏怖の念を禁じ得ないインタビューの丹念さから、太田海軍少将がいかなる人間であり、いかにその人間性が死後もなお崇敬の念を集めるかが分かる。大和出身の沖縄の英雄となれば、軍の太田、官の島田といったところか。2019/02/16
kiiseegen
4
本題名の決別電文は有名だが大田中将に付いては詳しく知らず、それを満たしてくれるには本書が最適だったと思える。三男である落合海将補の話から始まり、おや?と思わせつつ大田中将の人物像を徐々に浮き彫りにしていく構成に自然と惹きつけられてしまった。「後世特別ノ御高配ヲ…」末文に願われた結果に現沖縄は近づいているのだろうか。兎に角も今は読了し猛烈に感動している…。2013/05/20
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