内容説明
昭和戦前期、陸軍首脳部の重要ポストは陸軍幼年学校出身者で占められていた。なぜ陸軍は閉鎖的なエリート養成制度を作り出したのか。教育界の反発に対抗しつつ特権化を図る過程を、新発見の史料を駆使して解き明かす。
目次
序章 陸軍幼年学校体制の歴史的位置付け
第1章 陸軍幼年学校体制はなぜ発足したのか
第2章 日清戦後における軍事と教育の相剋
第3章 隈板内閣と「陸軍幼年学校問題」
第4章 陸軍幼年学校の特権化―財政危機の中で
終章 陸軍エリート養成制度にみる近代日本―陸軍幼年学校体制発足期
著者等紹介
野邑理栄子[ノムラリエコ]
1972年大阪府に生まれる。1995年静岡大学教育学部卒業。2002年神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了、博士(学術)。現在、神戸大学百年史編集室助手(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッキー提督
2
昭和期の陸軍に大きな影響を与えた陸軍幼年学校に関して、特にその制度を確立させた陸軍幼年学校改革の過程と、その時期において陸軍幼年学校がどのように見られ、どのような体制が各勢力において目指されたかが論じられた1冊。内容的には興味深く、本書冒頭で述べられている陸軍幼年学校出身者の影響力の大きさを考えると、より細部にまで今後研究が進むことを期待したい。著者は教育制度の歴史等を研究されている方とのことで、そのため個人的には目新しい視点も多かった。筑波大学図書館にて。2014/03/03
金吾
1
◎陸軍士官の中枢を輩出した幼年学校についてかなり詳しく大変面白かったです。2016/10/11
でん
1
この分野では画期的な本なのではないかと思う。また、桂、児玉、曽禰という山県直系のラインの作り出した幼年学校廃止案を山県がひっくり返したという論は、山県閥の結束の崩壊の始まりとみることもできるのではないだろうか、と思った。2014/11/11