内容説明
軍国主義、軍閥の糾弾とともに、憲兵は昭和の権力悪の象徴として、戦後日本に広く定着した―しかし、憲兵の本来の任務は軍事警察であり、監軍護法の下に軍人・軍隊が行なう“悪業”にたいし、鉄槌を下すことであった。十六年に渡る軍人警察官が実見した激動期の舞台裏と戦時下国民の偽りなき声を伝える話題作。
目次
満州事変勃発の前後―関東軍と関東憲兵隊
軍都千葉―時局に動く将校たち
戒厳司令部の幕僚たち―事件捜査の裏におどる
暗黒裁判に思う―つぶさに世情を体感して
反軍のひととき―国民の目は正しい
奇妙な警察務―狂人二題
万歳に沸く兵営街―応召兵の二つの窃盗事犯
国外に追放された男―浅原健三を中心として
排英運動の高まり―そのこれを動かすもの
政治の中の憲兵―その反省と痛恨
スパイ物語二題―潜入スパイとデッチ上げスパイ
南方占領地軍政に干与して―現在民政策の反省など
戦争末期の朝鮮―戦争が与えた傷跡は深い
空襲と共に東京へ―本土戦場化とその警察
殺人光線にからまる「科研」騒動―大発明家か大詐欺漢か
敗戦と憲兵の終焉―その悲惨なる末路
著者等紹介
大谷敬二郎[オオタニケイジロウ]
1897年、滋賀県に生まれる。1919年、陸軍士官学校卒。1930年、憲兵科に転科。1938年、東京憲兵隊特高課長、1944年、東京憲兵隊長、1945年、東部憲兵隊司令官を歴任する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おい
3
戦前戦中の日本軍、日本社会の動きが偏った見方かもしれないがよくわかる。内容はかなり客観的に筆者は書こうとしているように思える。ステレオタイプの情報でない記録である。 ★★★2021/08/05
筑紫の國造
2
長年憲兵の仕事に従事してきた、大谷敬二郎の自伝的な「憲兵」の紹介本。この人は他にも著作が多く、文章はこなれている。誤解されがちな憲兵という役割を知る参考になるだろう。また「狂人二題」やスパイの話など、単純に読み物として面白い部分もあるので、それほど構えずに読み進められる。ただし、これも自伝の弊として都合の悪い部分は書いてなかったり、うまく誤魔化してある所があるので、割引しながら読む必要がある。2016/04/18
ビタミン
0
★★★★☆2013/04/16