内容説明
本土防空のB29撃墜王として名を馳せた小林照彦少佐の戦中戦後を描く感動作。航空自衛隊の開隊とともに、ジェット・パイロットへの道を歩み、米国に留学、将来を嘱望されながらも、T33練習機の事故で殉職するまでを糟糖の妻の目から情愛あふれる筆致でつづる―信頼感を信条とした誇り高きパイロットの生涯。
目次
いのち
えにし
鉾田飛行学校
満州国旅情
長子誕生
伊勢路の四季
東京へ
高松林村飛行場
飛燕戦闘隊
義号作戦
終戦
試練期
牛津川のほとり
航空自衛隊築城基地
アメリカ便り
帰らざる人
著者等紹介
小林千恵子[コバヤシチエコ]
大正13年10月4日、東京上野谷中に生まる。京橋に移り、千葉県市川市で長ずる。昭和17年3月、跡見女学校卒業。同年12月、陸軍中尉小林照彦に嫁す。平成17年2月15日歿
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感想・レビュー
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Shintaro
2
小林照彦少佐を知ったのは、雑誌の写真。飛燕に乗っている優しそうな人ですが、B29の撃墜マークが6機。うち1機は飛燕が斜めに突き刺さっている。体当たり攻撃ですね。B29は1機でもM69焼夷弾を38×40=1520本搭載でき、都市を焼き払い当時悪魔のように恐れられていた。こういう人を「護国の鬼」と言うのだろうかと。しかし少佐は大戦を生き延び、設立時の航空自衛隊に馳せ参じる。本書の家族写真を見れば、小林少佐が誰を守り、何を護りたかったのは明らか。著者の千恵子さんは夫に絶対的な信頼感を寄せていた。読んで良かった。2015/03/29
とく
1
陸軍三式戦闘機『飛燕』を駆って帝都防空の任に就き、戦後は空自のパイロットとして殉職した小林照彦氏の妻、千恵子さんが、おそらく書き溜めていた日記を基に記した戦中、戦後の随想。主に戦記を出版している光人社NF文庫の本だが、戦争の記述はほとんどない。空に生きた夫とそれを支え続けた妻。戦中に結婚した2人の考え方は現代社会にはそぐわないものだけれど、とても美しい夫婦の記録である。戦争や飛行機に興味の無い方にも是非おすすめしたい。2016/11/06
たけぽん
1
太平洋戦争半ば、本土防空戦前から終戦後の日々、そして自衛隊の創設期の記憶。