内容説明
昭和十九年六月、孤立無援の東部ニューギニアで味方部隊の再来を信じて篭城した日本軍兵士十七名。熱帯雨林の下、飢餓と悪疫、そして掃討戦を克服して生き残った四人の男たちのサバイバル生活を克明に描いた体験記。敗戦を知らず、十年間の“生存”に挑んだ逞しき日本兵たちのノンフィクション。
目次
流転(昭和十七年十二月~十九年六月)
篭城(昭和十九年六月~二十年八月)
原始生活(昭和二十年八月~二十三年一月)
石器時代(昭和二十三年二月~二十四年十月)
鉄器時代(昭和二十五年一月~二十六年十二月)
隠棲発覚(昭和二十七年一月~二十八年二月)
原住民の風習・知恵(昭和二十八年二月~二十八年十二月)
現地官憲に漏れて(昭和二十九年一月~二十九年九月)
生きて祖国へ(昭和二十九年九月~昭和三十年三月)
著者等紹介
島田覚夫[シマダカクオ]
大正10年5月、岡山県に生まれる。昭和10年、尋常高等小学校卒業、所沢陸軍飛行学校に入校。30年3月、復員。郷里で桐箱製造会社に勤務、平成6年工場長で退職。平成7年1月歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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スー
17
66連合軍に日本軍が粉砕されて筆者達は街道や街は危険と判断して17人ほどで友軍の反撃までジャングルで生き延びようと入り10年間で4人になり無事帰国。当初は仲間内の人間関係の揉め事や食料確保に追われ友軍の食料を失ってから自給自足の為に新天地を探し農地の開墾や居住地の建設から試行錯誤しながら塩の生産や鍛冶場の建設と道具の製造それから狩りや現地人との交流と読み応えがあります、サバイバルはまるでリアルARKみたいで楽しかった。2023/10/18
shikada
12
太平洋戦争でニューギニアに派兵され、行軍中に拠点を奪われたためにジャングル生活に移行し、サバイバル生活を10年送った男の手記。戦況も分からぬまま、食料もなく、マラリアにかかったり敵の銃撃にあったりしながら泥濘の中を行軍し続ける序盤は悲惨すぎる。疲労困憊して装備も拠点もなく、生き延びた17名でやむなくジャングル籠城に移行するのが終戦の約1年前。その後もとにかく食糧難に悩まされ、狩りや農耕の試行錯誤をし、先住民と交流をし、ついにはオランダ人に保護され帰国する。事実は小説より奇なり。2025/07/02
モリータ
12
◆1986年原著。奥崎謙三のいた独工連隊グループとコタバルの集積所から運んできた食糧の取り合いになった、というエピソードから。◆詳しくは後日補充。2020/09/06
roatsu
8
事実は小説より奇なりの異色の戦記。よくぞ生きてと言葉もない。戦争からも文明からも隔絶されての壮絶な原始生活の前には飽食した現代人が気まぐれで行う脱システムや文明忌避など児戯に等しい。昭和19年4月の連合軍によるホーランジア・アイタペ上陸作戦で日本陸軍は第四航空軍が壊滅、ウエワクの第18軍は敵中孤立で袋の鼠と化し昭和17年以来苦闘を続けた東部ニューギニア戦線は崩壊する。その渦中でホーランジア付近で友軍の捲土重来を期し密林へ退避し潜伏生活に入った第209飛行場大隊の一握りの兵達の以後10年に及ぶ生還への苦闘。2025/03/20
記憶喪失した男
7
濃い。ものすごく濃い。ものすごく具体的なノンフィクション。これが戦争なのかと考えさせられる。戦争についての記述、ニューギニアとの交流。ものすごくいろいろなことを知らされる本だった。2020/08/02