内容説明
大戦末期、ドイツ空軍が世界にさきがけて戦場に投入し、連合軍の脅威の的となったジェット戦闘機メッサーシュミットMe262。航空史上に不滅の金字塔をうち建てた傑作機の開発からその最後までを描く話題のノンフィクション。物量で迫る連合軍を前に、孤軍奮闘の戦いを演じた高性能機とパイロットの活躍を綴る。
目次
1 プロペラ不要の新動力
2 ハインケル対メッサーシュミット
3 実用化への道
4 邀撃戦闘機を高速爆撃機に!
5 Me262、戦線へ
6 のびなやむ戦闘機隊
7 戦局打開の機会、去る
8 遅すぎた活動
9 最後の奮戦
著者等紹介
渡辺洋二[ワタナベヨウジ]
昭和25年(1950年)、名古屋に生まれる。立教大学文学部卒業後、航空雑誌の編集勤務。53年、第2次大戦の軍航空に関する執筆に専念。平成22年(2010年)、職業としての軍航空の著述を終了。以後、余暇を航空史研究にあてる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Miyoshi Hirotaka
23
太平洋戦争前半までは敵を圧倒したゼロ戦。ところが、ほぼ同じ時期に同盟国ドイツは史上初となるジェット戦闘機Me262を実戦に投入。その高性能と完成度の高さ、戦いぶりは航空史上に不滅の足跡を残した。さらに、高温・高圧に耐えうる部品の製作、量産が考慮された分割構造などは「機械の国」の底力を見せつけた。ところが、爆撃機の邀撃に使えば効果的だったはずのものが、ヒトラーより爆撃機への改装が指示され、現場が混乱、連合軍に有利に働いた。ボトムアップの独創性を相殺したトップの過剰な干渉。これは、今の企業経営にも生きる教訓。2014/04/09
Koki Miyachi
10
第二次世界大戦末期、実戦にいち早く投入されたジェット戦闘機メッセーシュミットMe262。レシプロ戦闘機時代に次世代技術の戦闘機を開発する苦労と、実戦投入実現に向けた軍組織内部の軋轢は相当のものがあった。日本は戦争初期には世界最高水準の零戦を開発したものの、最後まで零戦を超える戦闘機を開発できなかった。Me262は連合軍を含めても圧倒的な能力を持ち、ドイツの工業技術力を象徴している存在であった。その成果を詳細まで纏めた最初の本であり、兵器としてではなく工業技術発展の歴史の1ページとしても価値は高い。2015/07/28
to boy
5
細かな戦闘の記録の記述には辟易したが、著者の丹念な調査には頭が下がりました。戦闘の記録よりも開発した技術者達の物語を期待していましたが、その辺の記述が物足りなかったです。しかしMe262は時代を10年先取りした戦闘機。そのシルエットは現代でも通じる(当然ステルス性は無いですが)姿だと思います。コンピュータの無い時代、これだけの物を開発したドイツの技術者達のレベルの高さに敬意を払いたい。2012/10/01
む
3
第二次大戦末期、ナチスドイツが送り出した世界最初の実用ジェット戦闘機Me262の開発生産から戦闘までを追った本。当時のドイツの高い技術力と政治体制の歪さをそのまま反映したようなMe262の生涯をここまで詳しく述べた日本語書籍は他にない。他の著作同様、信頼の置ける改訂とソースを明示した書き方で渡辺氏らしい航空戦史となっている。 開発生産に関しては当時のドイツのレベルの高さに舌を巻く。設計図もらってたけどとても日本じゃ作れません…。 いつの時代も、全く新しいモノを世に送り出して活躍させるには色々な壁があるね。2019/06/23
χ
3
連合軍側には飛行機の運用を間違ったことはないのだろうか、ドイツや日本多すぎ。始めから爆撃機としてではなく戦闘機として使われてたら歴史は変わってただろうか。敗戦の色が濃くなってからだからあまり変わらないか。よく機体の線を見てみるときれいにまとまっていて美しいといえるかもしれない2014/05/31