内容説明
作戦全期間八ヵ月、進撃と激闘三ヵ月、敗走五ヵ月―英印軍の圧倒的物量攻撃に耐え、誇りを失わず、人知のかぎりを尽くして戦った歴戦の最精鋭兵士たちの苦闘の日々。豪胆機敏、“ジャングル狼”の異名をとった重機関銃中隊の古参兵が戦野に斃れた戦友たちの姿を書き綴った“最悪の戦場”からの慟哭のリポート。
目次
インド進攻
新兵の殺意
たおれて後もやまず
硝煙の臭い
静寂の底に
暗い幕あけ
魔のアラカン
野戦要塞
末期の水
戦友いまだ還らず〔ほか〕
著者等紹介
上村喜代治[カミムラキヨジ]
大正8年、新潟県柏崎市に生まれる。昭和14年12月、歩兵第30連隊留守隊入隊。15年3月、歩兵第58連隊要員として中国湖北省天門へ赴任。同年4月、宜昌作戦に参加。18年2月、シンガポールに上陸。19年3月、インパール作戦に参加。20年8月、終戦をビルマのラガで迎える。陸軍軍曹。21年7月、復員。22年1月に結婚、改姓し上村となる。平成元年、勲四等に叙され瑞宝章を授与される
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感想・レビュー
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wei xian tiang
3
烈、祭、弓と複数師団規模の大規模作戦であるだけに敗残行は指揮系統の混乱、飢餓疫病惨烈を極めニセ将校、ニセ命令、ニセ僧侶に扮した喜捨求めまで横行する二条河原的カオスである。ニセ中尉率いる一隊の糧秣強奪を、一介の上等兵たる著者が単身これもニセ大尉を装い慣れもせぬ軍刀を手にハッタリ一つで撃退する一幕には腹の皮が捩れるほど笑いつつも、我に帰れば切なく悲しい。これが団匪の折軍紀の厳正により列国の賞賛を集めて止まざりし帝国陸軍の成れの果てか。2014/09/21
ぐちーず
1
インパール、コヒマ戦を生々しい描写で描いている戦記。敗走期のあたりが冒険譚のようになっているが飢餓と疾病が支配する戦場での混乱がよく読み取れた。2010/06/09